若手農家が挑む福島米「天のつぶ」 地域の米作りを「守る」使命感 (前編)

提供:東京電力ホールディングス

「地域から田んぼがなくなってしまう」

―― 米作りで腐心していることを教えてください。

晃司さん 「もともと福島の農業というと、東京では果物を思い浮かべる方が多いと思います。どちらかというと、お米は会津、中通り(福島市や郡山市など)や浜通り(いわき市や南相馬市、富岡町など)は果物や野菜が中心。ただ、中通りでも米作りはやっていて、果物畑の隣に田んぼがある。そんなイメージでしょうか。福島は、土壌はもちろん、水がいいので農作物がおいしく育つ環境にあります。
ただ、周囲の農家さんは高齢者が多く、今後いつまで続けていけるか、わかりません。うちは祖父が持っていた田んぼの面積だけでは食べていけないので、ご近所の農家さんの田んぼの稲を刈って、精米して、という農作業を手伝っています。ご近所の農家さんが引退してしまうと、私たちの手伝い仕事も減ってしまい、結果的にこの地域から田んぼがなくなってしまいます。
そういったことから、米作りを続けていくために会社を起こしました。今のカトウファームの規模だと、お手伝いできる仕事量も限られてしまいます。会社として、もっと人を雇って、続けていけなくなった田んぼを引き受けられるようにしたいと思っています。
その一方で、米農家はお金がかかります。たとえば10町歩(1万平米)の農地で米作りをはじめるにしても、トラクターなどの農機具をそろえる必要がありますから、すぐに数百万円が必要になります。収穫した米を納める倉庫や作業場も必要ですし、個人がすべて賄えるようなわけにはいきません。それもあって、法人化する必要がありました」

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