サッカー日本代表(A代表)の森保一監督が2018年8月30日、初陣に向けたメンバー23人を発表すると、欧州で結果を残す堂安律(20=オランダ、フローニンゲン)ら新世代に期待が集まる一方、不安の声も漏れた。
最大の懸念はFW陣。Jリーグには上り調子の若手ストライカーが複数いる中で、不調の杉本健勇(25=セレッソ大阪)らが選ばれた。
ロシアW杯出場の海外組は見送り
日本代表は9月7日にチリ、同11日にコスタリカと、2つの親善試合を行う。ロシア・ワールドカップ(W杯)後のA代表初の実戦となる。当面は4年に一度開催される19年1月のアジアカップが目標となる。
メンバーにはDF佐々木翔(28=サンフレッチェ広島)、DF冨安健洋(19=ベルギー、シントトロイデン)、伊藤達哉(21=ドイツ、ハンブルガー)、堂安の4人が初選出。米国人の父と日本人の母をもつGKシュミット・ダニエル(26=ベガルタ仙台)も、GKの代表候補合宿に呼ばれたことはあるが、代表戦招集は初となる。
東京五輪代表と兼任の森保監督は、アジア大会中のインドネシアで会見。海外組は8人となったが、「ロシアW杯に出場して海外でプレーする選手の招集は見送った」としている。また、「この最初の招集がコアなチームだとは思っていない」と多くの選手を試していく考えだが、今回選ばれた選手に対し、主に2つのポジションで不安の声も漏れた。
1つはFW陣。ツイッターやネット掲示板では、国内組2人のうち、特に杉本健勇に厳しい視線が注がれた。
「なぜに杉本健勇なのか理解できなかった」
「アジアカップを想定しての招集なのはわかるんだが杉本は要らんだろ こいつは身体が張れるわけでも無くスペースを作る動きをしてくれるわけでもない」
「小林はいまJリーグナンバーワン日本人FWですから それよか杉本の意味が分かんない」
今季4ゴールどまりの杉本
国内組ではFW小林悠(30=川崎フロンターレ)が選出。J1得点ランク日本人トップタイの11得点をあげている。代表ではなかなかインパクトを残せていないが、現在の好調ぶりから納得する向きもある。対して杉本は今季4得点どまり。出場時間に換算すると、453分に1ゴールしかあげていない(小林は140分に1ゴール)。
森保監督が3-4-2-1のフォーメーションを敷く見込みであることから、187センチの長身を生かした1トップでのポストプレーを期待したのだろう、との指摘もあるが、今季の実績は乏しい。サッカージャーナリストの河治良幸氏は30日にツイッターで、杉本について「能力に疑いないにしてもJリーグの調子で選んだ感はないチョイスですね」と投稿している。
Jリーグでは、11得点中のFW西村拓真(21=仙台)、8得点中で182センチのFW鈴木優磨(21=鹿島アントラーズ)、7得点中でスプリント力に秀でたFW北川航也(21=清水エスパルス)ら、A代表未経験の若手が頭角を現し、初選出に推す声も少なくなかった。西村はロシアのCSKAモスクワ移籍話が浮上し、鹿島はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も並行して戦っているため、こうしたチーム事情を考慮した可能性もあるが、いずれも選外だった。
もう1つの懸念は、FW陣ほどではないがGK。W杯に3大会連続で出場し、30日にフランスのストラスブール移籍が決まった川島永嗣(35)を超える選手の台頭が不可欠となっている。選ばれたのは権田修一(29=サガン鳥栖)、シュミット・ダニエル(26=仙台)、そしてロシアW杯代表の東口順昭(32=ガンバ大阪)だ。
権田は8月に入って好セーブを連発。15日の第22節・川崎戦ではシュート27本(枠内9本)を浴びながら無失点に抑える驚異のパフォーマンスを見せた。だが27日の第24節・G大阪戦後、脱水症状を起こして救急搬送されたばかりで、状態にやや不安も残る。東口は実績十分ながら、G大阪は失点数でリーグワースト4位に沈んでおり、W杯による中断明け後の全9戦連続で失点中。197センチの長身を誇り、クラブで上り調子のシュミット・ダニエルに早くも出番が来る可能性はある。