グリー決算を3Dキャラが説明 翌日、株価急落した理由

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   ゲーム大手、グリーの株価が下落し安値水準が続いている。2018年8月2日の通期決算発表を受けて急落した後、反転のきっかけをつかめぬまま中国当局の規制強化が悪材料となってさらに下落し、2年ぶりの安値水準となっている。市場には「業績は成長局面にある」と期待の声もあるが、結果で示さないと投資家の信頼を回復するのは難しそうだ。

   2018年6月期連結決算は、売上高は前期比19.2%増の779億円、営業利益は17.8%増の94億円。主力のスマートフォン向けゲームが好調でいずれも2桁の伸びとなった。純利益は61.1%減の47億円だったが、グリーは前期に子会社売却など一時的な利益が積み上がった反動減と説明している。

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営業利益は伸びたが...

   一方、2019年6月期の業績見通しについてグリーは「インターネットを取り巻く環境の変化が激しい」として通期は示さず、第1四半期(2018年7~9月期)のみ開示。売上高は前年同期比14.4%減の185億円、営業利益が44.3%減の15億円、純利益は47.5%減の10億円、とした。ちなみに、今回の決算説明会でグリーは動画共有サイト向け3次元キャラクターで「バーチャルユーチューバー」とも称する「いそら真実」が映像で登場して決算や計画の概要を説明し、会場を和やかにしたそうだ。

   これに対し、市場は売りで反応した。8月3日のグリー株価は当日高値(583円)が前日安値(604円)を下回る「窓をあける」急落となり、一時、前日終値比10.1%(63円)安の558円まで下げ、終値は8.5%(53円)安の568円。18年6月期の営業利益が伸びたとはいえ、会社計画(100億円)を下回る水準にとどまったことを悪材料視する投資家がおり、第1四半期の業績予想の会社の「弱気」さ加減が嫌気された。グリー株は1100円を超えた直近高値の17年6月から右肩下がりであったが、決算発表がこれに拍車をかけた格好だ。

   さらに追い打ちをかけたのが、「中国テンセントショック」だった。中国ネットサービス大手「テンセント」が8月13日、日本のゲーム大手カプコンからライセンス供与を受けている人気オンラインゲームシリーズ「モンスターハンター:ワールド(モンハン)」について、8日の発売からわずか5日で当局の指示により配信停止となったことを発表した。中国では3月以降に認可申請した新作ゲームの審査が凍結されているが、認可済みのゲームにもストップがかかった。中国当局はゲームが人心に与える影響が大きいとみて規制を強化している。また、テンセントが8月15日に発表した18年4~6月期決算は2%ながら13年ぶりに四半期ベースで純利益が減益となり、中国ゲーム市場の異変が投資家の動揺を呼んだ。

テンセントショック、日本の株式市場に飛び火

   テンセントショックは日本の株式市場に飛び火。大和証券の15日付のレポートが目標株価を690円から610円に引き下げたこともあって16日のグリー株は一時、前日終値比3.2%(17円)安の516円まで下げ、その後も売りが優勢で連日年初来安値を更新し、直近最安値は22日の485円。2016年8月以来、2年ぶりの安値水準が続く。グリー自体は中国市場に本格参入していないが、有望市場の将来が危ういとみられたわけだ。カプコンやコナミホールディングスなどゲーム関連株も軒並み大きく下げた。

   もっとも、大和証券にしても、レポートでは「先行投資を含め実績に積み上がりが期待される」と強調。8月2日付ではあるが、SMBC日興証券のレポートは「主力タイトルが好調で業績成長局面にある」と指摘した。第1四半期の減益予想は新規事業への積極投資ゆえ、との見方もある。であればこそ、実績を示していかなければ残っている期待がはげ落ち、さらに株価が下落しかねないと言えそうだ。

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