中国も食指を伸ばす
この間、シリア内戦をめぐってトルコが敵視するクルド人勢力を米国が支援していることに反発したトルコがロシアと手を組む状況になっていた。中国もトルコに食指を伸ばし、習近平政権は「一帯一路」の一環でトルコに対し国有銀行の4000億円規模の融資を決めるなど、両国の接近も顕著になっている。
中東では親米の盟主サウジアラビアと対立するカタールが、今回、トルコに150億ドル(1兆6500億円)の直接投資を表明した(15日)。カタールが2017年にサウジから一方的に断交され、食料供給も断たれた時、トルコが実施した食糧空輸などへの「恩返し」と言われるが、カタールの「親イラン」姿勢、イランとロシア・中国との緊密な関係などから、米国の対トルコ強硬姿勢が、トランプ政権が敵視するイランなどの側へトルコを追いやるという皮肉な構図になっている。
こうした動きに危機感を抱くのが欧州で、ドイツ、フランスなどは「トルコ経済が強くなることはドイツにとっても重要」(エルドアン大統領と会談したメルケル独首相=15日)などとして、貿易拡大など経済協力を強め、「西側」につなぎとめようと必死だ。
複雑な国際情勢の中で、トルコをめぐる様々な動きは、経済問題にとどまらない国際政治の大きな焦点になっている。