トルコショック、日本への影響 まだ晴れそうにない「視界」

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国際政治の不確定要素にも

   例えばアルゼンチンは昨17年来の通貨ペソの下落を受け、通貨価値の防衛のため政策金利を40%まで上げていたところにトルコショックが起こり、18年8月13日に45%まで利上げした。これに対し、トルコのエルドアン大統領はかねて金利を「搾取の道具」などと呼び、景気を冷やす利上げに反対し、むしろ利下げさえ求めてきた。インフレ率が十数%から20%程度で、金融の常識では利上げは不可避とされるが、強権的政権運営のため、中央銀行は利上げに踏み切れず、国際社会はその独立性を疑問視している状態。いまのところ、政策金利はいじらずに市場への資金供給の手綱を若干締めた程度だ。

   トルコショックは先進国を含む株式市場にも大きな影響を与えている。今後は、どうなっていくだろうか。

   まず日本については、円が相対的に安全な資産として買われやすい地合いになっている。今のところ「ドル一強」の状況だが、ちょっとした風向きの変化で円高に振れる可能性が指摘され、今後の動向は注視が必要だ。

   米利上げを背景とした新興国の通貨不安に、米・トルコの政治的な対立が加わった形で、権威主義的な両政権だけに、事態の収拾、容易に見通せないというのが大方の見方だが、経済問題以上に、米・トルコの対立は国際政治の不確定要素として不安をかきたてている。

   トルコは北大西洋条約機構(NATO)に加盟する西側同盟国の一員で、中東への影響力など、安全保障上の重要な役割を果たしている。欧州を悩ます難民問題では、欧州連合(EU)との合意に基づいて、シリアなどからの流入の「防波堤」にもなってきた。

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