歌うバーチャルアイドル「初音ミク」と結婚したとする男性について、フジテレビ系情報番組「バイキング」が週刊誌提供の映像を元に紹介したが、男性がツイッターで苦言を呈している。
取材も連絡もなかったというのだが、フジテレビは、J-CASTニュースの取材に対し、「やり取りしたが、詳細控えたい」などと答えた。
「どうやって受け止めればいいの?」「ちょっと怖い」
「初音ミクと同棲しています」「一生添い遂げるつもりでいますよ」。2018年8月24日放送の「バイキング」では、独身公務員という近藤顕彦さん(35)がインタビューにこう答える映像を流した。
この映像については、「週刊文春デジタル」とのクレジットが表示された。文春は、21日付ウェブ版記事で近藤さんへのインタビュー動画も載せていた。
記事によると、近藤さんは、アニメキャラなどを3D映像に投影できるバーチャルホームロボット「Gatebox」を購入し、初音ミクとの「生活」を始めた。このロボットは、「お腹空いたね」と声をかけると、「野菜ジュースが飲みたいなあ」と答えるなどする。
近藤さんは、Gateboxの婚姻届受理サービスを利用し、17年11月に結婚証明書が発行されて「夫婦」になった。そして、18年11月には、関東近郊の結婚式場で初音ミクのぬいぐるみを座らせて挙式する予定だという。
番組は、近藤さんを「自他共に認めるアニメオタク」「非モテ公務員」などとし、こうした紹介が終わると、番組では、出演者から笑い声が上がった。
司会の坂上忍さん(51)は、「俺は、どうやって受け止めればいいの?」と顔をしかめる。タレントの橋本マナミさん(34)も、人気アイドルをロボットで再現して結婚するケースも増えるとして、「いやー、ちょっと怖いなあって思っちゃった」とこぼした。
男性「取材も連絡も受けておりません」
続いて、近藤顕彦さんの家族は、巻き込まれたくないと初音ミクとの結婚式には不参加だと紹介されると、坂上忍さんは、「安心しました」と漏らす。意見を聞かれたタレントの東国原英夫さん(60)も、「家族はまともですね」と近藤さんに批判的だった。
ただ、アンガールズの田中卓志さん(42)だけは、近藤さんに「本当にちょっと近い」と明かした。坂上さんから「声かけてあげてよ」と言われると、「一応、僕だけは味方なんで」と呼びかけていた。
「バイキング」の放送後には、近藤さんがツイッター上で反応し、次のように不満を漏らした。
「私は今日放送されたバイキングという番組からは取材を受けていません。連絡も受けておりません。私は『オタクを見下したり、嘲笑したりしない』とお約束いただける方からのみ取材を受けています」
ただ、「過去記事の引用や、その批判意見までは拒否していません。それは表現・言論・報道の自由です」とも付け加えている。
近藤さんの投稿には、8月27日夕現在で2万件ほども「いいね」が付いており、フジテレビへの疑問や批判が多い。「無許可でやったら駄目だろ」「いくら何でも勝手に個人を取り上げて公共の電波で叩くとかやりすぎなんじゃないの?」といった声だ。
「テレビなんてこんなもんやろ?」「二次元は逃避というイメージがあるから仕方ない」といった声もあったが、一部に留まっている。
「謝罪は受けているが、オタクを見下した報道は残念」
近藤さんはその後、フジテレビの番組担当者から謝罪されたとツイッターで明かした。
27日には、J-CASTニュースの取材に対し、「担当者から謝罪は受けており、私は表現・言論・報道の自由を尊重する考えでもあるため、殊更にフジテレビ様と対決姿勢を出そうとは考えておりません」とコメントした。
詳細については答えられないとしたが、「オタクを見下した報道をしたことと、事前に連絡がなかったことは残念に思っております」とは明かした。
フジテレビの広報宣伝室は、「近藤顕彦様とやり取りさせていただいたのは事実です。やり取りの詳細および制作の詳細については回答を控えさせていただきます」と取材に答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)