安倍晋三首相の「薩長で力を合わせ~」発言に、立憲民主党の枝野幸男代表が噛みついた。幕末に薩長(薩摩と長州)と対立した藩があったことを指摘し、「わが国を分断するような」言い方だとして批判したのだ。
「薩長」発言は、安倍首相が鹿児島県で自民党総裁選への立候補を表明する直前の地元会合の際に出た。安倍首相は山口県を地盤としており、それで薩摩と長州、というわけだ。ツイッターでは「鹿児島の人へのただのリップサービス」と問題なしとする擁護論や、「首相は勘違いし始めているかな」と枝野氏に賛同する意見などが出ている。
枝野氏「国全体のリーダーとしては間違った言い方だ」
枝野代表は2018年8月27日、安倍首相による「薩長」発言について、「わが国を分断するような、国全体のリーダーとしては間違った言い方だ」と指摘した。薩長と対立した、東北の「福島」や「奥羽越列藩同盟」の地域だった人がいることにも触れた。新潟県湯沢町で記者団に対して語った。
一方の安倍首相は26日、鹿児島県垂水市で、桜島を背景に総裁選への立候補を正式に表明した。この会見前にあった地元選出議員の会合では、当日夜には薩摩藩などが舞台のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放送があると指摘したあと、「薩長で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」と発言していた。
枝野代表による批判は27日夕、時事通信などが報じた。産経新聞(ネット版)は、見出しで「薩長同盟は『わが国を分断する言い方』!?~」と、枝野代表発言に「!?」マークをつけて伝えた。
ツイッターでは、「薩長発言」は、総裁選に向けての鹿児島の自民党員に対する「ただのリップサービス」だと、安倍首相を擁護する指摘も出ていた。さらに、
「遊説先でのリップサービスが『国民分断』とはw」
と、枝野代表を揶揄する声もあった。一方、
「(首相が)『薩長同盟』も口に出したとか。悲しいかな、日本の政治」
「薩長同盟...ちょっと安倍首相は勘違いし始めているかな。おごり?」
などと、枝野代表と共通の問題意識を持つ人も見受けられた。