大塚家具に明るい材料は? 来春は創業50周年だが...

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   大塚家具の経営が危機に瀕している。同社が2018年8月14日に発表した1~6月期決算の最終損益は20億円の赤字で、決算短信には、先行き不透明感が高まったときに投資家に注意を促す「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」が記載された。

   難局を乗り切るため、複数企業と資本提携交渉を進めているが、交渉成立への道のりは険しそうだ。保有株を手放す大株主もおり、明るい材料は全くといっていいほど見当たらない。

  • 2019年春に創業50周年を迎える大塚家具(画像は、同社公式サイトより)
    2019年春に創業50周年を迎える大塚家具(画像は、同社公式サイトより)
  • 2019年春に創業50周年を迎える大塚家具(画像は、同社公式サイトより)

12か月連続の前年割れ

   不振の要因は、一にも二にも客離れが止まらないことだ。月次の全店売上高は昨17年夏、わずかに前年を上回った時もあったが、18年7月まで12か月連続の前年割れ。7月の数字は前年同月比27%減と減少率も大きかった。

   その結果、2018年1~6月期の売上高は前年同期比12%減の188億円に、営業損益は前年同期から赤字幅が8億円拡大して35億円の大赤字となった。店舗閉鎖などに伴う特別損失が減ったため、最終赤字は25億円ほど減ったが、止血できていない。営業活動での現金の出入りを示す営業キャッシュフローは1~6月期で20億円のマイナスで、資金流出が続いていることを示す。2015年末に109億円あった現預金は、18年3月末で10億円にまで減少した。6月末は22億円に増えているが、本業で稼いだものではない。

   そんな中、8月7日には2018年通期の業績予想を下方修正。売上高は従来予想より80億円少ない376億円に、営業損益は51億円の赤字(従来は2億円の黒字)、純損益は34億円の赤字(従来は13億円の黒字)にそれぞれ修正した。期末に1株当たり10円支払う予定だった配当金も、「未定」に切り替えた。

保有株を手放す大株主も

   これらの数字は大塚久美子社長による「経営の失敗」を意味している。久美子社長は、敷居が高かった同社を「気軽に入れる店」に転換しようと企て、高級路線の前社長で父の勝久氏と対立。2015年春の株主総会で委任状争奪戦に勝利し、勝久氏の追い出しに成功した経緯がある。だが、ニトリやイケアほど安くなく、かといって高級イメージもない「中途半端」な立ち位置となり、業績回復の糸口をつかめなかった。

   じり貧の大塚家具は、他社との提携に活路を見出そうとしている。2017年11月に貸会議室大手、ティーケーピー(TKP)から資本を受け入れ、同社とはさらに深い提携関係を目指している。このほかの提携候補として、家電販売との相乗効果が見込めるヨドバシカメラの名前もあがる。台湾の企業グループと提携協議を行っているとの情報もある。スポンサー企業は久美子社長が経営責任を取って辞任すべきだと考えているが、久美子社長は続けたい意向だといい、交渉がまとまらない要因になっているようだ。

   そんな中、米投資ファンドのブランデス・インベストメント・パートナーズが6.41%保有していた大塚家具株をすべて手放して保有株ゼロになったことが、8月20日に同社が関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。レオス・キャピタルワークスも6月に保有割合を5.99%から1.75%に減らしている。2019年3月に創業50周年を迎える大塚家具。節目をどんな形で迎えるのか、注目だ。

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