20年前の構想が復活したワケ
金融庁は地銀再編を後押しする。今年4月に発表した「地方金融のあり方についての報告書」によると、東京都を除く46道府県の地銀の経営状況を調べたところ、長崎県を含む23県で、将来的に地銀が1行しかなくても、存続が難しくなると指摘していた。
その根底にあるのは、「スーパーリージョナルバンク」構想だ。金融危機で地域金融機関が相次いで倒産する一方で、オーバーバンキング(銀行が過剰に多いこと)が指摘され、経営統合による再編で、県などをまたいだ大型地銀の創設が促されていた2000年ごろ、当時の小泉政権が唱えた道州制の導入とあわせて検討された経緯がある。
金融危機をどうにか乗り切り、また道州制の議論も下火となっていったことで、沈静化していたが、2016年2月以降のマイナス金利政策の影響による資金運用難と、企業向け融資の伸び悩みで、再び、地域金融機関の「再編」がくすぶりはじめた。
地銀は多くの地域で1県2行体制にある。「ふくおかFG+十八銀行」の経営統合を突破口に、全国の地銀の中でスーパーリージョナルバンクへと加速度的に突き進むところが出てくる可能性は大きい。20年近く前の構想が、どっこい「生きていた」というわけだ。