岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
隠れトランプ支持者も抱える不安と孤独

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   ニューヨークに住む知人のジョナサン(40代)は、親戚の前で政治の話をするのを一切やめることにしたという。

   数年前、マサチューセッツ州の親戚の家のポーチで談話していた時、当時大統領だったオバマ氏の外交をやんわり批判すると、親戚のひとりが突如、顔色を変え、「なんだ、その言い方は。僕はオバマを敬愛しているんだぞ」と激しい口調で言い返された苦い経験があるからだ。

  • トランプタワー前で、トランプ大統領の再選を訴えるトランプ支持者
    トランプタワー前で、トランプ大統領の再選を訴えるトランプ支持者
  • トランプタワー前で、トランプ大統領の再選を訴えるトランプ支持者

意見の違いで離婚するケースも

   「あんな攻撃的な彼を見たのは、初めてだったよ。オバマ批判でさえ、あの勢いだ。民主党支持者が多い親戚の前で、トランプ支持発言でもしようものなら、縁を切られるよ」と苦笑する。

   現にトランプ氏を嫌悪する私の知人のモーリー(70代)は、自分が生まれ育った米中西部に住む兄弟や友人がトランプ支持者と知り、連絡を取らなくなったという。トランプ氏をめぐる意見の違いから離婚に至った夫婦や、別れることになったカップルもいる。

   精神科医やサイコセラピストなどの専門家によれば、トランプ支持者のなかに孤独感や疎外感を訴える人が増えているという。

   この連載の前回の記事で、反トランプ派のなかに「トランプ不安障害(Trump Anxiety Disorder=TAD)」に苦しむ人が増えていることを取り上げた。一般の不安障害とは異なり、トランプ氏に関わるもので、同氏の言動に「人類が滅亡するのではないか」、「戦争が始まるのではないか」、「次に何が起きるのか」という不安や絶望にかられる。ソーシャルメディアで過度に時間を費やし、夜眠れないなどの症状も見られるという。

   サイコセラピストのエリザベス・ラモット氏は、「不安を抱えているのは、反トランプ派だけではない。その理由は違うものの、トランプ支持派の間でも不安を抱えて訪れる人が増えている。トランプ支持を知った友人や家族に気分を害され、失望され、疎外感を覚えている。職場や友人との会話で、また感謝祭などの休日に家族と過ごすなかで、言いたいことを言えずに孤立してしまう」と話す。

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