女性器をかたどった作品を展示し3Dデータを配布したとして逮捕・起訴され、後に一部無罪が確定した芸術家の「ろくでなし子」(本名・五十嵐恵=46)さんが2018年8月22日、裁判の経験を意外な方法で活かしたことをツイッターで明かした。
「ろくでなし子」になりすますアカウントについて、ツイッターの運営会社へ通報して対応を求めたところ、同社からは身分証明書を求められたという。だが、公的機関が発行する身分証明書には本名しか記載されず、本名がペンネームと紐づいていることを証明するのは難しい。そこで登場したのが、意外な書類だった。
「政府発行の身分証明書画像を送れ」と求められ...
ろくでなし子さんは2014年12月、作品を展示した「わいせつ物陳列」と、3Dデータを送信した「わいせつ電磁的記録等送信頒布」「わいせつ電磁的記録記録媒体頒布」の罪で起訴され、16年5月の1審・東京地裁の判決では作品展示については無罪、3Dデータの送信については罰金40万円の有罪判決を受けていた。17年4月の2審・東京高裁判決は1審判決を支持し弁護側・検察側双方の控訴を棄却。検察側が上告しなかったため、作品展示については無罪が確定していた。データ送信については弁護側が上告しており、引き続き最高裁で争われている。
この経験がツイッターで活きた。ろくでなし子さんのツイートによると、なりすましをツイッター社に通報したところ、「政府発行の身分証明書画像を送れ」と言われ、そこで、「『ろくでなし子こと五十嵐恵』と書かれた東京地方裁判所の起訴状の画像を送った」(原文ママ)。その意図を
「ペンネーム記載の証明って難しいけど、起訴状、身分証明がわりにもなって便利だね」
と解説し、ツイッター利用者からは
「最高です!」
「起訴状にこんな使い方があったとは!」
といった声が次々に寄せられている。
ただ、現時点で通報を受けた「なりすまし」アカウントが凍結されたかは明らかではなく、起訴状が身分証明として有効に機能したか分かるまでには時間がかかりそうだ。