福岡市の高島宗一郎市長(43)が2018年8月21日に都内で行われた求人イベントで、福岡移住に関心を持つ若手のITエンジニア約20人を前に熱弁をふるった。福岡市は情報通信関連企業やスタートアップ企業の誘致を進めており、エンジニアの移住促進にも力を入れている。
「移住」で年に1万人以上人口が増えているが、12年時点の推計では、35年の160万人をピークにゆるやかに減少するとされている。それでも高島氏は「私は想定をどんどん壊していきたい」と、「成長路線」を強調した。
「リスクを取る人が尊敬されるような街を」
福岡市は都心などに比べ、通勤時間が短く家賃も安いことに加え、総生産のうち約9割がサービス業などのいわゆる第3次産業だという点も大きな特徴だ。この点について高島氏は
「(企業や従業員が)集まれば集まるほど、もっと栄える」
として、税収が伸び、地価が上昇していることを挙げながら移住を呼びかけた。
「一言で言えば、成長都市なわけよ。成長させていくという意思があるから。このまま『成長じゃなくて成熟だ』というところに満足していて『どう閉じていくか』、という都市ではなくて、おれたちはこれからまだ成長していくぞ、という意思がある都市だから、チャレンジするなら、絶対そういうところに賭けた方がいいと思うんだよね」
「福岡という街はリスクを取る人が尊敬されるような街を目指すというのが、私の考え方。そういう考え方に一番フィットするのがスタートアップ企業」
「2035年に160万人」想定を「どんどん壊していきたい」
福岡市が12年に10年ぶりにまとめた推計では、人口は今後約20年にわたって増え続け、35年の160万6000人をピークにゆるやかに減少し、40年には160万1000人になると予測している。ただ、18年8月現在の推計人口は157万7973人。今のペースで増え続ければ、数年後には160万人を突破しそうだ。
高島氏も、推計は「スマホがこれだけ流通していない時代の人が想定したもの」だとして、
「この人たちが想定していなかった新しい要素が入ってきているのに、じゃあこの160万という推計が同じようにいくのか。私が市長になっても、別の人がやっても、その推計どおりにしかいかないのであれば、私がやる意味がない。私は想定をどんどん壊していきたいと思っていて、今はその想定を全然超える勢いで増えてきている」
オフィス不足で「『超・世界的に有名な企業』を2社お断りしている」
そういった中で問題になっているのがオフィス不足。三幸エステートの調べによると、福岡市の大規模ビルの空室率は1.5%前後で推移しており、それでは「成長にキャップがされている」。10年間で福岡中心部のビル30棟を建て替える「天神ビッグバン」プロジェクトや、中央ふ頭や博多ふ頭を再整備する「ウォーターフロントネクスト」で床面積を大幅に増やしたい考えで、
「私がこれまで誘致した中でも、『超・世界的に有名な企業』を2社お断りしている。こういった企業も、当然これ(床面積増加)ができれば、全然来るようになる」
と意気込んだ。
この日のイベントは、福岡市公式の求人アプリのリリースを記念して、博多ラーメンチェーン「一風堂」店舗で開催。高島氏は、「まずはスープから」などとうんちくを披露しながら、参加者にラーメンをふるまった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)