山里亮太が潜入「Fate/Grand Order」の世界 人気スマホゲームの制作舞台裏

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長いシナリオはリスク?

山里: いろんな人が言うように、FGOの大きな魅力は、やっぱりシナリオ。それは間違いないと思うんです。
でもスマホゲームって、複雑なストーリーとか、設定とか、長いストーリーって敬遠されるんじゃないかなと思っていたんですけど、どうですか?

カノウ: よくご存知ですね。まったくその通りです。
通常は継続率とか、ユーザーさんの動向をみてゲームとしてどのくらいの文字数が適切かなどを考えるのですが、弊社はライターさんの表現を最優先にしています。奈須さんが書く、もしくは奈須さん含めTYPE-MOONのライターさんが書くストーリーがすべてなんです。実は第1部から今までで500万字あるんですよね。第1部では、200万字です。

山里: 500万字!?
ストーリーボリュームとゲームの関係って難しくないですか? 据え置きゲーム機の人気ゲームシリーズもストーリーの文字数が増えたことがありましたが、評判はイマイチだったかと。だから、ストーリーボリュームって、かなりリスキーですよね。

カノウ: そうですね、リスキーだとは思います。

山里: それができるのは、やっぱりストーリーへの絶対的な信頼感ですか。

カノウ: そうです。弊社は、KPI(=Key Performance Indicator=重要業績評価指標)ではなく、TPI(タイプムーンインジケーター)を重視します、と公言しているんです。すべてはTYPE-MOONさんの中での「これが楽しいだろう」という状態を、絶対的な正解としています。
まず『Fate』シリーズという作品のファンがいるということ、その『Fate』シリーズの過去、現在、未来を作っているTYPE-MOONさんの方向性は、間違いない。
そして、TYPE-MOONの皆さまも熱心にFGOをプレイしてくださっています。その方々に「いい」「面白い」と思っていたただけるゲームなら、それこそ間違いないと思っています。

山里: 開発するにあたり心がけていることは?

カノウ: こちらは開発内でいつも私が指摘していることとなりますが、「以前やっていたことを当たり前だと思わない」ということです。いかに新しいことをやっていくかを重視しています。以前こうやっていたから、という考えばかりではNGですね。常に、今どうあるべきかを考えないといいものは生まれないと思っていて、「前こうだったから」なんて発言しようものなら......。

山里: なるほど(笑)。でも正解が出ていたら、そのやり方を踏襲するのがいいんじゃないですか。

カノウ: もちろんルーチンとしてはいいんですけど、それに「+α」は必要なんじゃないか、というところです。ユーザーさんの期待を越えていかなきゃいけませんから。
同じことをやるっていうのは、長く運営を続けていくゲームでは衰退していくのと同じなんです。前と同じことをやって、同じ方が満足して続けてくださるかというとそうじゃない。常に新しいことを増やしていくという意識じゃないと、最低限の維持すらできないんです。

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