自動運転や電動化の流れと研究開発
ところが2006年、頼みのGMが経営危機に陥り、保有するすべてのいすゞ株を売却。そこで登場したのが、トヨタだった。しかし、リーマン・ショック後、欧州を中心としたディーゼルエンジンへの規制強化など、経営環境は激変した。今後、ディーゼルの需要拡大が期待できないことも、提携解消の判断材料になったようだ。
いすゞの国内ライバルメーカーは、既に欧州勢と深い関係にある。三菱ふそうトラック・バスは独ダイムラーが89%の株式を持ち、UDトラックス(旧日産ディーゼル工業)はスウェーデン・ボルボの傘下に入っている。日野自動車はトヨタグループだが、独フォルクスワーゲン(VW)と商用車分野で提携交渉に入った。いすゞのみ、海外勢との関係が薄い。
自動運転や電動化といった流れは、乗用車だけの問題ではない。研究開発にかかる人材・費用を、いすゞ単独でまかなうのは難しい。いすゞは今回トヨタから買い取った自社株を当面は自社で保有する方針を示している。他社との資本提携に活用するためだ。
その相手は、気心が知れたGMか、それとも欧州勢か。成長著しい中国勢との提携も、考えられないわけではない。未曾有の変革期を乗り切るために、どんな選択をするのか。決断の時は迫っている。