いすゞ自動車とトヨタ自動車が「協議離婚」した。2018年8月3日、06年11月からの資本関係を解消すると発表したのだ。両社はディーゼルエンジンの共同開発などを目的に提携、その裏付けとしてのトヨタがいすゞの株を保有していたが、目立った成果が出ていなかったため、継続を断念した。
自動車業界は100年に1度の変革期と言われる中、規模で劣るいすゞが、今後、単独で生き残るのは容易ではない。かつてのパートナーだった米ゼネラルモーターズ(GM)と「復縁」するのか、それとも別の選択肢があるのか。業界関係者の注目が集まっている。
「良好な関係を維持していく」とコメント
トヨタは、保有するいすゞの全株式(5.9%分)を約800億円で同社に売却。両社は資本提携解消後について「要素技術レベルの共同開発を継続するなど良好な関係を維持していく。いすゞは商用車市場、トヨタは乗用車市場で、それぞれが競争力を向上させる取り組みを加速させる」とのコメントを出した。
提携は、欧州の乗用車市場向けの小型ディーゼルエンジンの開発などが目的だった。しかし2008年秋のリーマン・ショックを機に開発を中断。トヨタはハイブリッド車(HV)開発に軸足を大きく移し、両社共同での取り組みは次第になくなっていった。
1916年に創業したいすゞは、「国内の現存自動車メーカーの中では最古の歴史」(同社)を誇る。国内メーカーの再編を経て、前身の東京自動車工業が創立されたのは37年。日産自動車、トヨタと並ぶ「自動車御三家」と呼ばれた時期もあった。しかし、60年代に自動車大衆化の波に乗り遅れ、経営は傾いていった。
1971年、GMからの資本を受け入れて経営危機を脱し、乗用車「ジェミニ」などのヒット商品も生まれた。93年には経営効率を高めるべく、SUV(多目的スポーツ車)を除く乗用車生産から撤退して商用車に特化した。