「1日で疲れは取れない」
番組では、米ニューヨーク州の弁護士資格をもつ八代弁護士も「万全の状態で戦わせてあげたかったとすごく思います」とした上で、
「高校生に『もう投げられない』と言わせる主催者ってどうなんだろうと思います。米国だと『虐待』と報じられていますから、夏の一番暑い時期に連日(試合を行う)。もう少し考えてほしい」
と、過密日程を組む高野連の姿勢を問題視している。
「吉田のために」と金足農がチーム一丸で吉田投手を盛り立て、それに応えるように熱投を続けたエースの姿は感動も呼んだ。一方で甲子園の過密日程は、有力選手を何人も抱えられない同校のような公立校を中心に、エース投手の過大な負担となり、毎年のように問題視もされる。
こうした甲子園の二面性は、元大阪府知事・前大阪市長で弁護士の橋下徹氏も言及した。ツイッターで22日、「大阪桐蔭と金足農業のメンバーには敬意」と決勝を戦った両校を称えると、
「しかし金足農業の吉田選手を美談で終わらす間は、日本のスポーツ界に未来はない。吉田選手にどれだけの負担がかかり、選手寿命をどれだけ縮めたのかを科学的に明らかにすべき。それくらいのことができないなら日本のスポーツ科学論は役立たず」
と検証の必要性を訴えた。
一方、当の選手たちにとってはどうなのか。69年の第51回大会で三沢(青森)を準優勝に導き、プロ入り後近鉄バファローズなどで活躍した太田幸司氏は、22日付サンケイスポーツで「投手の投げ過ぎが心配なら、監督が酷使しなければいいだけの話」と主張。13年大会から準決勝前日に休養日が設けられたが、
「1日では疲れは取れないし、乗っているときは毎日投げた方がいいときもある」
と、決勝経験者としての肌感覚を伝えた。その上で、
「過保護になればなるほど、力のある私立校が有利になると思う」
との考えを述べている。