インドネシア・ジャカルタでのアジア大会中にバスケットボール男子日本代表4選手が歓楽街を訪れて買春に及び、代表認定を取り消された問題で、社会学者の古市憲寿氏が「スポーツ選手が聖人君子である必要もない」「報じる方も悪趣味」と報道に苦言を呈した。
4選手らは大会途中の2018年8月20日に帰国して会見すると、報道陣からは「女性とホテルに行くまでの流れ」など詳細に尋ねる質問もあった。だが古市氏は「別に聞きたくもない」と一蹴。インターネット上ではこうした見解に賛否が分かれている。
「そこまでこうやって晒し者にすることかな」
バスケ男子の橋本拓哉(23=大阪エヴェッサ)、今村佳太(22=新潟アルビレックス)、佐藤卓磨(23=滋賀レイクスターズ)、永吉佑也(27=京都ハンナリーズ)の4人は16日夜、「JAPAN」のロゴ入り公式ウェアを来たまま歓楽街「ブロックM」を訪れた。夕食後、日系人の紹介で女性が接客する店へ。その後女性とホテルに行き、行為に及んだ後、17日未明に選手村に戻った。120万ルピア(約9000円)の金銭のやり取りがあったという。
日本オリンピック委員会(JOC)は19日付で4選手の日本代表認定を取り消し、20日朝に帰国させた。同日、日本バスケットボール協会の三屋裕子会長も出席して東京都内で会見を開いている。
21日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、MCの小倉智昭さんが「日の丸つけたユニフォーム姿で(歓楽街に)行かないでしょう」と選手らを糾弾。一方、古市氏は「誉められた行為じゃないですけど」と、やったこと自体は責めながらも、
「そこまでこうやって晒し者にすることかなと思ってしまう。逆に報じる方も悪趣味。会見で事細かに女性を買ったかということを別に聞きたくもない」
と、報道の仕方にはやや不快感を示した。その後も、
「スポーツ選手が聖人君子である必要もないと思うので、そんなに細かく報じなくてもいいんじゃないかと思ってしまいました」
と繰り返した。
上記の会見では「女性とホテルに行くまでの流れを説明してほしい」といった、事の経緯を詳細に聞く質問も出ている。これに永吉は「食事後、2軒目を探していたところ、現地の女性に声をかけられた。そこに現地の言葉が話せる日本人が現れ、話を聞いてもらった。お金の話をしているとのことだったので、そういうことかと認識し、交渉してホテルに行った」などと説明している。
「子供達のロールモデルにならないと」
報道のあり方を疑問視する古市氏のコメントにインターネット上では意見が噴出し、
「これに関しては古市に賛成」
「この人まともな事言うこともあるんだな」
「金を取った(競泳女子)池江(璃花子)さんの報道は僅か15秒 こちらは3分も使って、アジア大会に水を差したとか騒いでいるマスメディアに対しての方が違和感を持つ 特にテレビは行き過ぎだろ」
と肯定する声は少なくない。一方で、
「外出時に代表ユニフォーム着せてる意味考えろ」
「スポーツ選手は公人で、子供達のロールモデルにならないと思う」
「国の代表だぞ 規則で決まってるんだろ ジャカルタでも違法の可能性があるみたいだし」
と追及を受けてしかるべしといった反発も多い。
確かにJOCは、「アジア大会への派遣は国費で賄われる。国民の期待に応えるためには、競技での活躍だけでなく、競技を離れた場でも社会の模範となる行動を心がける」と行動規範を定めている。山下泰裕・日本選手団団長は、今回の件が行動規範違反にあたるとして即時の認定取り消しと帰国を命じるという厳しい姿勢を取るに至った、と説明した。
なお小倉さんは番組で、古市氏の意見に「そういう声もあるだろうし、一方で新聞に名前が出てしまって、三屋さんも会見しないとダメだと思ったんだろう」と協会側の考えを慮った。
その三屋会長は会見で「確かにこの人たち(4選手)は本当に情けない、恥ずかしいことをしてしまったと思っている。隣で聞いて涙が出るくらい、こんなに自覚がなかったのかと」と厳しい姿勢を見せた。ただ「それでつぶしていいかは別問題。どこかで将来もう1回『敗者復活』があるなら作ってやりたい」との考えも示していた。