「食用を目的としたセミの幼虫等の捕獲はやめてください」――。埼玉県内の複数の公園に貼り出された注意書きの内容に、ネット上で「えっ...」「食べるの!?」といった驚きの声が相次いでいる。
いったいなぜ、わざわざ「食用」と限定して注意を呼び掛けているのか。J-CASTニュースが、こうした注意書きを掲出している川口、蕨(わらび)両市の担当課に取材すると...。
市民から複数件の「通報」が
話題の発端は、あるツイッターユーザーの2018年8月18日の投稿。川口市西部にある青木町公園に、セミの幼虫を食用のために捕獲する行為を止めるよう注意する貼り紙があったことを、写真付きで紹介したものだ。
公園内の立て看板に貼られた注意書きでは、「食用」「セミの幼虫等」「やめて」といったフレーズを赤字で強調している。日本語だけではなく、同じような文言を英語と中国語で記した貼り紙もあった。
こうした注意喚起は、ネット上でたちまち大きな注目を集めることに。ツイッター上では、
「どういうことだ?食用でセミの幼虫?!」
「セミの幼虫を食用...埼玉県民マジか...」
「困惑するわ。セミの幼虫って食えるん...?」
といった驚きや困惑の声が相次ぐ騒ぎとなっている。
J-CASTニュースが8月20日、この貼り紙を製作した川口市公園課の担当者に事情を聞くと、
「市民から『公園内で大量にセミの幼虫を獲っている人がいる』との通報が、市に複数寄せられたことが掲出のきっかけです。こちらで理由を調べたところ、食用を目的としている可能性が考えられたため、ああいった形での注意喚起をしました」
と説明。掲出を始めたのは6月からだという。
わざわざ、「食用」とだけ限定して注意を呼び掛けた理由については、
「子供たちが虫取りをするのは禁止したくなかったからです。あくまで、目的は生態系の保護ですので」
と話した。セミの幼虫「等」と書いた部分については、「市民から連絡があったのはセミでしたが、他の虫が大量に捕獲される可能性も考えられたからです」としていた。
研究者から「クマゼミが減っている」との連絡が
こうした「食用」目的でのセミ捕獲に関する注意書きは、隣接する蕨市の公園にも存在する。掲出場所は、先述した川口市の青木町公園から2キロほど離れた「蕨市民公園」だ。こちらの貼り紙には、
「食用のために、公園内のセミの幼虫等の生物を、とらないでください」
と書かれている。
掲出の意図について、蕨市道路公園課の担当者に聞くと、
「個人的にセミを研究している外部の人間から、『クマゼミが減っている』との連絡を受けたためです。また、近隣の市から『(セミを)食べている人がいるようです』との情報提供があり、こうした注意喚起を始めました」
としていた。
なお、どちらの公園も、メディアなどで「チャイナタウン化」が指摘されるJR西川口駅の近くにある。そのためネット上には、中国の一部地域ではセミの幼虫を食べる文化があるなどとして、「西川口なら あー中華料理になるのかーと思った」と推測する書き込みも出ている。
ただ、川口市公園課の担当者は取材に対し、今回の注意書きや市民からの連絡と、「チャイナタウン化」の関係について、「関連はないものと考えています」としていた。