独自条例定める自治体も
農家が代々受け継いできた種子が使えなくなるという問題も指摘される。種子の知的財産権の保護と言えば聞こえがいいが、要は巨大企業が種子を囲い込み、独占することになりかねない。知的財産権を押さえていない一般農家の種子が、他社(巨大企業)の知的財産権を侵すとして使えなくなるといったことが、ラテンアメリカなどで、すでに問題になっているという。
2017年4月、共謀罪新設の法律や森友問題などで国会が騒然とする中、種子法はあまり世間の注目を集めぬまま、野党の反対を押し切って廃止法案が可決された。野党は先の通常国会に6党共同で種子法復活法案を提出した。もちろん、廃案になったが、野党は引き続き復活を求めていく方針だ。また、地方独自の取り組みとして、新潟、兵庫、埼玉の3県は種子法に代わって、県がコメなどの主要農産物の安定的な供給の責任を持つ条例を制定した。
2019年は春~夏に統一地方選と参院選が行われる。16年の前回参院選の東北など東日本の1人区で野党統一候補が多く当選し、健闘したのは、TPP(環太平洋経済連携協定)に盛り込まれた農産品の市場開放への農家の反発が大きな要因とも言われた。「種子法廃止は地味ではあるが、農家の反発は根強く、与党にボディーブローとして効いてくる可能性はある」(大手紙経済部デスク)。