ティファニーの指輪を左手薬指にはめて、轢死した彼女は「行旅死亡人」になった

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行旅死亡人データベースを作った男性

   こうした行旅死亡人について、情報をまとめ続けている個人サイトがある。「行旅死亡人データベース」。筆者も、今回の取材ではずいぶんお世話になった。

   行旅死亡人が掲載されている「官報」は、過去1カ月分が無料で閲覧できる。しかしそれ以前のものは、有料プランに申し込むか、図書館などで調べるしかない。一方、この「行旅死亡人データベース」では、2010年以降の行旅死亡人について、地域別・性別・年齢別にアーカイブされている(なお、官報の内容には著作権はないとされる)。

   運営しているのは、29歳の男性だ。システムエンジニアとして働く傍ら、このサイトを立ち上げたという。ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)を通じて、取材を申し込んだ。

「富士の樹海や東尋坊で自殺者の見回りをしている人のニュースを見て、世の中に人知れず死んでいる人はどの程度いるのだろうと疑問を抱くようになり、色々と調べていくうちに、行旅死亡人に行き着きました」

   男性は行旅死亡人に興味を持ったきっかけを、こう説明する。

   いろいろ調べるうち、行旅死亡人の情報を一覧で観たり、検索したりすることができるサイトが、どこにもないことに気づいた(官報の有料プランにしても、それほど詳細な検索はできない)。ならば自分が作るしかない、と思い立ち、2017年6月にサイトを開設した。

   運営していて、何か印象に残ったケースなどはあるだろうか。

   「1年もやっていると、慣れからか何も思わなくなってしまったのですが」――管理人の男性は前置きしてから、こう続けた。

「私には1歳の娘がいますので、乳幼児の行旅死亡人には心が痛みます」
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