92万7523円を遺した荒川のホームレス
典型例の一つは、「ホームレス」や「日雇い労働者」だ。J-CASTニュースの調べでは、2017年度に都内の自治体から公表された行旅死亡人81人のうち18人が、発見時の状況などからホームレス、あるいは日雇い労働者と推定される。
その一人、ある行旅死亡人を訪ねることをした。
東京メトロ東西線・西葛西駅。まっすぐ西へ歩くこと15分。ファミリー向けのマンションが並ぶ地区を抜け、堤防を上ると、風がごうごう音を立てるとともに、荒川のパノラマが目の前に広がる。
2017年8月10日、江戸川区がこの河川敷で亡くなった男性を、官報に掲載している。
「本籍・住所・氏名不詳(推定鈴木栄)、推定年齢70歳位の男性(推定昭和18年7月23日生)、身長163センチメートル、体格中肉、坊主、右人差し指第一関節欠損、財布、安全衛生教育手帳、特別教育修了証、安全研修修了証、手帳、アドレス帳、玉掛技能講習修了証、年金手帳、郵便物、預金通帳、ケース、印鑑、朱肉、現金927,523円 上記の者は平成29年5月26日午後1時31分頃、江戸川区西葛西××××先荒川河川敷テント内で発見されたものです。
身元不明のため遺体は火葬に付し、遺骨を保管してありますので、心当たりの方は、当区福祉部福祉推進課までお申し出ください」
欠けた人差し指、そして数々の資格証からすると、長らく現場作業員として生計を立てていたらしい。だが、何より目を惹くのは、92万7523円という高額な所持金だ。