携帯2・4年縛り見直し 消費者のメリットは限定的

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4年間の分割払いを条件に最大半額に端末を値引き

   他方の「4年縛り」は、スマートフォン(スマホ)端末の代金を、4年間の分割払いを条件に最大半額に値引きする販売手法。KDDIが2017年7月に、ソフトバンクも同9月に、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」など一部機種で導入した。NTTドコモにはない。「4年」の縛りとはいえ、2年経過後に機種変更し、利用中の端末を下取りに出し、かつ、同じプランに再加入することで、スマホ端末の残金がゼロになる。途中で抜けるには分割払いした端末の残金を支払う必要がある。端末を安くする分、契約を続けてもらって通信料で稼ごうというものだ。

   スマホを実質半額で買えるようになり、2年ごとに最新機種に乗り換えたい人にはありがたいプラン。しかし、同じ端末を長く使う人や、他の携帯会社に乗り換える人には不利で、利用者間で公平性を欠いているのは問題だと指摘されていた。公取委も腰を上げ、この6月、「消費者の契約変更を断念させることで選択権を事実上奪う」として、独占禁止法に違反すたる可能性があるとの報告書を公表した。

   指摘を受け、KDDIとソフトバンクは見直しを表明。値引きの条件のうち、「同じプランへの再加入」という条件を撤廃する考えだ。これで2年経過後に抜けやすくなる。ただ、端末値引きの条件として機種変更はそのまま残るし、他社へ乗り換える場合は、端末の残金を支払わなければならないのは変わらない。利用者のメリットは限られる。

   手間暇かけて獲得した顧客を囲い込もむために様々なサービスをし、引き換えに契約を縛るというのは、多くの業界でも見られること。その限りで消費者にもさまざまなメリットもある。しかし、縛りが行き過ぎて携帯会社の乗り換えが制限されてしまうと、サービスの低下、料金の値上がりなど、結局、消費者にデメリットとして跳ね返りかねない。

   携帯の契約のありようは国民的な関心事。事業活動の自由と消費者の利益にどう折り合いをつけるか、そして大手3社寡占の市場への楽天モバイルの本格参入による競争激化などをにらみ、今後もさまざまな議論を呼びそうだ。

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