携帯電話の一定年数の契約を課す「〇年縛り」が見直されることになった。総務省や公正取引委員会の指摘を受けた対応だが、微修正にとどまり、利用者の自由な選択への道のりは、なお遠いようだ。
携帯の契約は、通信料金や端末代金について、契約期間と割引を一体化するのが常識だ。それが、利用者によっては不利になるというのが、指摘されている問題だ。
2年間の利用を条件に通信料金を毎月割り引く
具体的には「2年縛り」と「4年縛り」がある。
「2年縛り」は、2年間の利用を条件に通信料金を毎月割り引く契約。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社はみな実施している。
月々の割引の代わり、2年間の契約満了前に解約すると、契約解除料(違約金)9500円を支払わなければならないのだが、問題は2年を経た時の手続きだ。契約から25、26か月目を更新月とし、この時に解約すれば違約金はなし。だが、この期間の通信料金が発生してしまう。「2年契約」なのに、解約するには2年分の料金支払いだけで済まないということだ。
これを問題にしたのは総務省。消費者に不利だとして大手3社に対して、2年契約満了後に追加料金なしで解約できるよう、2018年度中に見直すよう求めた。
これを受け、NTTドコモが2019年春をめどに改善する方針を打ち出した。違約金なしで解約できる期間を、24か月目を含む3か月間に拡大、24か月目(2年ちょうど)に解約すれば、追加の通信料金なく解約できるようにする。KDDI、ソフトバンクも追随する見通しだ。ただ、変更はこれだけ。23か月目以前に解約した場合はこれまで通り違約金がかかる。また、24~26か月目に解約しなければ、自動的に2年契約となり、再び縛りが生じる。利用者にとって恩恵は限定的だ。