2018年8月14日の甲子園(全国高校野球選手権)2回戦、横浜(南神奈川)-花咲徳栄(北埼玉)の試合で、マウンドの球児に激しいヤジが飛ぶ場面があった。
花咲徳栄のエース・野村佑希投手が、横浜のバッターに頭部死球を与えてしまった直後。ブラスバンドの応援がパタリと止み、球場全体が静まり返る中、「オイ!」「オラァ!!!」といった怒声が客席から響いたのだ。
「×××、オラァ!!!」
4回表、横浜の攻撃。ノーアウト1、3塁のチャンスで、打席には1番バッターの山崎拳登(けんと)選手が入った。スコアは4-1で、花咲徳栄としてはこれ以上点差を離されずに切り抜けたい場面だった。
だが、エース・野村投手の2球目は、ストライクゾーンを大きく外れ、山崎選手の頭部に直撃。ヘルメットに当たったボールは大きく跳ね、山崎選手は倒れ込むような形でグラウンドに膝をついた。
まさかの頭部死球に球場は騒然。横浜側アルプスから響いていたブラスバンドの演奏も止まり、甲子園は一時シンと静まり返った。その後、山崎選手は自力で立ち上がり、ベンチへ向かったが、この時に野太い男性の声で、
「オイ!」「×××、オラァ!!!」
といった激しいヤジが飛んだのだ。こうした怒声は、NHKや朝日放送(ABC)のテレビ中継を通じても聞こえた。
上述したヤジの「×××」の部分は、テレビ中継では不明瞭で正確には聞き取れなかったが、記者の耳には「アホなんか」と叫んでいるようにも聞こえた。そのほかにも、大声でブーイングをしたり、煽るような形で指笛をしたりする観客もいた。
ただ一方で、「山崎ー!」と死球を受けた打者へエールを送る声も。山崎選手が自力で歩いてベンチへと下がった際には、球場全体から大きな激励の拍手が起きていた。