天皇陛下が終戦の日「最後のお言葉」 「戦後の長きにわたる平和な歳月」に込められた思いは?保阪正康さんに聞く

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   73回目の終戦の日にあたる2018年8月15日、全国戦没者追悼式が東京・北の丸公園の日本武道館で開かれた。天皇陛下は19年4月30日の退位が決まっており、式典に臨席し「お言葉」を述べるのはこれが最後だ。

   1989年の即位から毎年述べてきたお言葉の文言は基本的には同じ内容だったが、例外だったのは戦後50年と70年を迎えた1995年と2005年だ。今回は、「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という表現が新たに盛り込まれた。

  • 「お言葉」を述べる天皇陛下
    「お言葉」を述べる天皇陛下
  • 正午の時報に合わせて黙とうする天皇皇后両陛下
    正午の時報に合わせて黙とうする天皇皇后両陛下
  • 「お言葉」を述べる天皇陛下
  • 正午の時報に合わせて黙とうする天皇皇后両陛下

戦後70年の2015年から「深い反省」加わる

   戦後50年の1995年のお言葉では、これまでの「つきることのない悲しみを覚えます」が「深い悲しみを新たにいたします」に改められ、新たに「ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」が加わった。戦後60年の2005年には大きな変化はなかったが、戦後70年の15年には「先の大戦に対する深い反省とともに」という表現が新たに加わり、次のような内容になった。

「『戦没者を追悼し平和を祈念する日』に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に70年、戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがありません。
ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

立ち止まって過去・現在を確認し、それを未来に伝える

   16年、17年は、「●●年」という年数や微妙な助詞の違い以外は、15年とほぼ同じ内容だ。この「変化がない」ことにも重要な意味が込められているという。J-CASTニュースで「保阪正康の『不可視の視点』 明治維新150年でふり返る近代日本」を連載中のノンフィクション作家・保阪正康さんは、その意図を

「『変わらない』『変えない』ということを、天皇の意志として理解すべき」

だと読み解く。具体的には、4年連続で盛り込まれた「深い反省」という表現が、天皇陛下の「不変、不動の信念」だという見方だ。

   18年のお言葉には、はっきりとした変化があった。「ここに過去を顧み、深い反省とともに」の直前に「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、」の文言が新たに入ったのだ。保阪さんは、

「この23文字を加えることで、一度立ち止まって過去と現在を確認し、それを未来に伝えていきたい、という思いなのでは」

とみている。

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