2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として夏の時間を2時間繰り上げる「サマータイム(夏時間)」の導入が議論される中、自民党の船田元(はじめ)衆院議員は2018年8月13日、自身の公式サイトで「我々は躊躇することなく、この新制度に挑戦すべきではないのだろうか」と「大賛成」の立場を示した。
サマータイムをめぐっては、ITシステムの大規模改修や睡眠不足による健康被害など、デメリットも多く指摘されている。船田議員は個々人の努力などで解決できるというが――。
エコノミストも「大きなリスクが伴う」
サマータイムは、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長らが推進している。
森氏は7月27日、8月6日に安倍晋三首相と会談し、サマータイムの法整備を要望。報道によれば、これを受ける形で政府・与党内で導入の検討を始めたという。
サマータイムは多くのメリットをもたらす可能性がある一方、デメリットも指摘されている。第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストが8月8日に発表したレポートでは、メリットに(1)電気などの使用を控えることでエネルギーの節約や温暖化ガスの削減に役立つ(2)退社後の明るい余暇の時間ができる(3)小売店などの売り上げ増――を挙げる一方、
「中小企業等で労働時間の延長につながる労働強化の可能性以外にもサマータイム導入に伴う問題点は多い。人体の体内時計が狂うことで睡眠不足になり、労働者の生産性が低下する可能性もある。早く帰宅して自宅や娯楽施設で電気を使用するなどでエネルギー節約効果が削減されるとの指摘もある。そして何よりも、時計の針を動かすことに伴う余分な導入コスト負担の増加や、システムを中心とした混乱といった大きなリスクが伴う」
とも警告している。