野村HD、国内外で試練に直面 年初来安値圏に低迷

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   国内証券最大手、野村ホールディングスの株価が冴えない展開となっており、年初来安値圏に低迷している。2018年4~6月期連結決算(米国基準)で純利益が前年同期比9割減となったことに株式市場が異変をかぎとっているようだ。大和証券が投資判断を引き下げるレポートを出すなど専門家の見方は厳しく、反転上昇のきっかけをつかめずにいる。

   野村HDは7月26日、決算を発表。売上高に相当する「収益合計(金融費用控除後)」は前年同期比24.6%減の2719億円、税引き前利益は82.4%減の136億円、純利益は90.8%減の52億円と利益の急減が目を引く。それは、国内外の法人向けに金融商品販売など手がけるホールセール部門の税引前損益が74億円の赤字(前年同期は254億円の黒字)と振るわなかったのが主な要因だ。ホールセール部門の赤字は2016年1~3月期以来、9四半期ぶり。

  • 軟調な展開が続いている
    軟調な展開が続いている
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米中貿易摩擦など世界経済の雲行きの怪しさを反映

   ホールセール部門、なかでもその海外事業は野村にとって近年、足かせとも言える状況が続いてきた。それは2008年、米リーマン・ブラザーズから欧州・アジア部門を買収したことで宿命的に抱える課題だ。本格的に世界に打って出る戦略ではあったが、旧リーマンの高給取りを抱えつつ10年の欧州債務危機などによる取引低迷に直面したことで赤字がかさみ、累次のリストラ断行を迫られてきたのが過去10年の歴史である。直近では16年4月にも、欧米での業務縮小などのコスト削減策を発表した。

   今回の赤字は、米中貿易摩擦など世界経済の雲行きの怪しさを反映している。野村HDは「方向感の見えにくい市場環境や新興国市場の変調(資金流出)を受けてフィクストインカム収益(各国国債売買などによる収益)が低調だった」とコメントした。海外事業は米州、欧州、アジアともに税引前損益が赤字。3地域そろっての赤字は2015年10~12月期以来だ。ホールセールは国内でも厳しさを増している。日銀の金融政策で超低金利が続き、日本国債の取引が細っているためだ。国内外で試練に直面する中、ホールセール部門の再度の立て直しは急務。実際、SMBC日興証券は7月26日に発行したレポートで、「市場はより抜本的な対応策、ホールセール部門のリストラを求める状況になりつつある」と指摘した。

ホールセール部門の「止血」

   決算発表を受けて野村HD株は売られた。発表翌日の7月27日、一時前日終値比6.6%(36円80銭)安の522円60銭まで下落し、年初来安値を更新。当日高値が前日安値を下回る「窓をあける」急落でもあった。その後株価はもみあっていたが、8月1日付の大和証券のレポートが「割安感が縮小した」などとして投資判断を1段階引き下げ、5段階の真ん中の「3(中立)」としたことなどで2日以降、軟調な展開が続き、3日、10日に続き、週明け13日も相場全体が下落する中、一時、499.4円と500円の大台を割り、再び年初来安値を更新した。

   野村HDの利益の源泉である国内個人向け事業は2018年4~6月期も199億円の税引前利益を挙げて全体を支えているとはいえ、前年同期比20%の減益だ。個人向けの主力商品である国内株式の先行きも予断を許さないだけに、やはりホールセール部門の止血がまず求められていると言えそうだ。

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