オトナの男女がオシャレなレストランに集まり、「合コン」感覚でパーティーを楽しむ。一見すると、普通の光景だ。参加者が皆「既婚者」であるということを除いて。
「既婚者合コン」――。巷で最近、こんなイベントが行われている。テレビ番組で紹介されると、ネット上で「本当にあるのか」と話題に。実は「本当に」存在する。J-CASTニュースでは今回、イベントの運営者に話を聞いた。
「#既婚者合コン」が話題に
こんな女をみているとイライラする――。お笑い芸人のいとうあさこさんら女性タレント12人がそんな嫌いな女のタイプを暴露したのは、2018年8月6日放送のテレビ番組「女が女に怒る夜」(日本テレビ系)だ。
番組では「女が怒るハッシュタグ50音」と題するVTRを放送。「あ」から50音順に、街の女性300人以上に聞いた「女性がいらっとするハッシュタグ」を紹介した。「#足元倶楽部」「#1mmでもいいなと思ったらRT」などを押しのけて、ネットで大きな注目を集めたのは、「き」の「#既婚者合コン」だった。
「既婚者合コン」とは、既婚者の男女だけが参加する合コンだ。番組では、既婚者が配偶者とは別にもつ異性のパートナー「セカンド・パートナー」(セカパ)を求める人が巷で増えていると説明。「夫では満たされなくなった女性が割り切った付き合いを求めて参加している」と伝えた。
フリーライターの秋山謙一郎氏が17年、『友達以上、不倫未満』(朝日新書)でルポするなど、セカパは確かに少しずつ社会に浸透している。一般的な不倫と異なり、そこに肉体関係は介在しないとされる。
一方、番組で取り上げられた既婚者合コンはそこまで認知されてもいないようだ。ツイッターなどインターネット上では、番組の視聴者から「既婚者合コンってなにw」「既婚者合コンなんてあるんだ...」「普通に浮気では?」と驚きの声が続出していた。
「表面的にセカパを探している人はいない」
実際のところはどうなのだろうか。既婚者による「合コン」を主催する団体に取材すると、既婚者合コン=「セカンド・パートナー」探しではない、という答えが返ってきた。
「セカンド・パートナーという言葉と、既婚者の合コンとは何も関係がありません。新しい知り合いを増やしたくて参加している人が多いようです」
首都圏で既婚者同士の友人づくりを支援している団体「Brilliant」の運営責任者・青山ひかるさんは、7日のJ-CASTニュースの取材にそう答えた。
Brilliantは17年10月、運営を開始。東京や横浜、千葉、埼玉で月に10数回、20~50代の既婚男女を対象に合コン形式のパーティーを開いてきた。少なくともBrilliantでは、「表面的にセカンド・パートナーを探している人はいません」と青山さんは明かす。
場所は落ち着いた雰囲気のレストランやバーなど。詳細はそれぞれ異なるが、参加人数は男性12人、女性12人など。料金は、男性が約8500円、女性が約2000円代。現在、女性を中心とするスタッフ8人で運営している。
こうした「既婚者合コン」のサークルを立ち上げた理由をたずねると、青山さんは「主催の私が既婚者であるため」と説明する。
「既婚者同士だと、子どもの話や家庭の悩みなども含めて気軽に話せて、お友達になりやすいようです。合コン形式にしたのは、男女比を合わせた方が盛り上がり、独身時代に当たり前に楽しんだ世代だから入り込みやすいと思ったからです」
参加者の年齢層は男女とも、40代が中心。リピーターと比べると、新規の参加者が多い。パーティーでは「皆さまの話を妨げないよう」心がけつつ、参加者に席替えや連絡先交換を促している。
「男性に誤解されるケースも多い」けど
青山さんによると、既婚者合コンの触れ込みから「男性に誤解されるケースも多い」という。公式サイトでは「不倫の出会いを目的としたサークルではありません」と説明しており、禁止事項に「スタッフへの罵声」「セクハラ行為(言動)」を含めるなど、楽しい会の雰囲気づくりに気を配っている。
とはいえ、こうして合コンで楽しい一時を共にすれば、そこから距離を縮める可能性もあるのでは? そう聞くと、
「参加者1人1人の気持ちを確かめているわけではないので、水面下でどうなのかまでは分かりません。異性を誘ったり誘われたりもするようですが、こちらが関与することでありません。モラルを守って参加してくれれば嬉しいです」
ちなみに、Brilliantでは結婚経験者(バツアリ)どうしのパーティーも計画中。「独身の街コンはたくさんありますが、結婚経験者に特化したものはないのでないか」としている。