東京・銀座で2018年8月9日にオープンした銀座ソニーパーク(Ginza Sony Park)の店舗「アヲ GINZA TOKYO」で、小説「星の王子さま」とコラボレーションした「バオバブの苗木」の販売が打ち切られることになった。ソニーパークを運営するソニー企業が8月11日、公式サイトで発表した。
このコラボをめぐっては、ツイッターなどインターネット上で「星の王子さま」の原作ファンから批判の声が続出。「長年のファンの皆様の心情を考慮」したと、ソニー側は説明した。
「星を壊す」ファシズムの象徴との声が
ウェブサイトの発表では、「オンライン及びお電話にて様々なご意見」があったとして、
「『星の王子さま』の長年のファンの皆様の心情を考慮させて頂き、『アヲ GINZA TOKYO』と協議を行いました結果、当該商品の販売を終了して頂くことになりました」
と販売打ち切りの経緯を説明した。
「星の王子さま」バオバブの苗木は、「アヲ GINZA TOKYO」を運営する日本緑化企画(東京都府中市)の商品企画の第1弾。プラントハンターの肩書で活動する、同店のプロデューサー・西畠清順氏が代表を務めるそら植物園(兵庫県川西市)とのタイアップで生まれた。
日本緑化企画の発表資料では、「星の王子さま」に登場するバオバブを「自宅や会社など好きな場所で育て、ひとつひとつ個性のある樹形を楽しむことができる」と説明していた。
だがその後、「星の王子さま」の一部ファンからは、バオバブは原作で「星を壊す」ファシズムの象徴として描かれているとして、両者のコラボを批判する声が、ツイッターなどインターネット上に続出した。
原作にはない「オリジナルストーリー」も物議
原作の内容について、日本緑化企画は「バオバブは星の王子さまが住んでいた星を割ってしまうかもしれない、恐怖の存在として描かれています」としていた。ただ、「実際は古代よりアフリカの原住民とともに生き生活に寄り添ってきた木」「世界で最も長寿な木の一つ」などとも説明していた。
原作の出版は、第二次世界大戦中の1943年。フランス人の作者・サン=テグジュペリは、自由フランス空軍に志願して戦いの最前線に赴いた飛行士として知られる。
さらに、「バオバブの苗木」のパッケージ4種の中には、原作にはない「オリジナルストーリー」を掲載し、西畠氏と「王子さま」のイラストを横に並べたものもあった。ネット上では、こうした権利上の観点からも「炎上」した。
西畠氏は17年12月、推定樹齢150年のアスナロの木をクリスマスツリーとして飾り付け、神戸メリケンパーク(神戸市)に期間限定で展示する企画「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」に携わり、物議を醸していた。
これ以外にも、苗が剥き出しのまま販売されていたことから、「苗木の扱い方があまりにも雑」といった声もあがっていた。