お盆(月遅れ盆)休みの帰省ラッシュが始まった。この時期、孫に会えることを楽しみにしているおじいちゃん、おばあちゃんも多そうだ。
お盆といえば、ここ数年で、「お年玉」の夏版である「お盆玉」の認知度が高まっている。帰省した子供や孫にあげるお小遣いのことで、実際、小学生の約3人に1人がもらっている、との調査結果も出ており、ツイッターでも「お盆玉」が話題に上っている。
小学生の37%が「もらっている」
2018年夏の帰省ラッシュが始まり、新幹線の予約のピークは下りが8月11日、上りが15日となっている。10日のツイッターには、「今年はお盆玉、貰えるかなぁ」といったつぶやきもあった。
お盆休みシーズンを直前に控え、「お盆玉」に関係する調査結果が相次いで発表された。三井住友カード調べの「お盆玉に関する親子意識調査」結果(8月1日)によると、小学生の37%、約3人に1人が例年、「お盆玉」をもらっている。平均金額は9345円。
「お年玉」の平均額、2万1960円の約半額程度であることについて、同社では、「お年玉は親、祖父母に加え、親戚などからももらう」一方、「お盆玉は祖父母からもらう」とのコメントが多い、と指摘している。「お盆玉」は、「現金でもらう」が8割で、「物でもらう」が2割いる、との結果も。調査は、小学生の子供がいる全国の男女280人を対象に、6月にネットを通じて実施した。
一方、「お盆玉」をあげる方のシニア世代に聞いた「シニアのリアル調査」18年版の結果を8月9日に発表したのは、あおぞら銀行(本店・東京都千代田区)だ。「お盆玉」という言葉を知っているか、を尋ねた結果は、「知っている」が37.2%にのぼり、16年の16.6%、17年の28.9%を大きく上回り4割近くに達した。
「お盆玉」を今年あげる予定の人は33.5%で前年から1.9ポイント増えた。予定金額の平均は5800円だった(子や孫がいる人が対象で、「0円」との回答は除く)。内訳をみると、1万円以上を予定する人も約31%いる。調査は、55~74歳の男女2000人が対象。
商標登録されている
この「シニアのリアル調査」によれば、「お盆玉」の認知度は2016年(約16%)から、わずか2年で約20ポイントも上がっている。いつ頃から浸透し始めたのだろうか。辞典『広辞苑』(岩波書店)の最新版(第7版、18年1月発売)には載っていない言葉だ。
一部大手紙の過去記事を2000年から検索すると、日経新聞(13年8月6日朝刊)に、「お盆玉」と銘打ったポチ袋の売れ行きが前年比12%増になった、との記事が見つかった。「お盆玉という新しいスタイルは広がるだろうか」との記載もある。
朝日新聞では「14年7月21日朝刊」記事で、やはりポチ袋の話題に絡め、「お盆玉」を紹介。「夏の風物詩として定着するか」と注目している。また、同記事では「江戸時代に東北で奉公人に衣類やげたを渡した習慣」が由来だと説明している。
両記事に出てくる「お盆玉」のポチ袋は、紙製品製造販売のマルアイ(山梨県)が商標登録(紙類や文房具類など)し、2010年から販売。同社公式サイトでは「『お盆玉』の名称はマルアイで作った造語で、商標登録をされています」と説明している。その後、食品などの異なる分野で、別会社数社が「お盆玉」を商標登録している。
「初めて知った」の声も
今夏、18年8月に入ってからのツイッターをみると、
「電車に揺られながらお盆休みに親戚の子供にあげる、お年玉ならぬお盆玉のためにポチ袋に千円札を詰める作業 親戚の子供大杉(編注:「多過ぎ」の意)」
と準備に追われる報告や、
「おばあちゃんがお盆玉くれた」
と、既にもらった子供の喜びの声も寄せられている。他にも
「最近は、お盆玉というのが、あるそうですね じいちゃん・ばあちゃんも大変ですね」
と同情する意見や、
「お盆玉というものが存在してるの初めて知った」
と驚く人も見受けられた。一方で、
「そんな風潮いらねえよ」
と反発する人もいる。