週刊金曜日の特集記事と単行本に「盗用」があったとして、誤報検証サイト「GoHoo」を運営する日本報道検証機構が抗議していた問題で、週刊金曜日は2018年8月3日号(同日発売)で4ページにわたる小林和子・編集長名の検証記事を掲載した。
抗議を受けた記事は、産経新聞の記事を「捏造」「誤報」などと分類しながら批判する内容。金曜日側17年11月17日発売の同日号で「お詫び」を掲載したが、機構側は再発防止策が明確でないとして「メディアとしての責任を果たしたとは到底言えず、誠に遺憾」だと反発。これまで、金曜日側は記事が「盗用」だとは明示的に認めてこなかったが、検証記事では「『盗用』と指摘されても致しかたない失態」だとした。
筆者「引用元を書くのを失念していた」
問題とされたのは、「金曜日」の17年2月17日号に「どうなってんの? 続出する産経流『捏造記事』一覧」と題して掲載された記事。後に加筆の上、7月発売の単行本「検証 産経新聞報道」にも収録された。この内容の一部がGoHoo掲載の記事に酷似していたとして、8月に機構は金曜日に抗議していた。
これを受けて金曜日が行った社内調査で、「金曜日」本誌で取り上げた11事例のうち7事例、単行本の21事例のうち10事例が、GoHooの内容をベースにしていたことが明らかになった。
今回の検証記事によると、記事を執筆した編集部員は事情聴取に対して
「引用元を書くのを失念していた。実際に誤報があったかどうかは(当該の『産経新聞』で)確認している」
と話している。また、金曜日編集部のこれまでの認識は、
「日本報道検証機構の記事を引用、または参考にしていても、自ら裏付けをとっていれば、必ずしも引用・参考の表示は必要はない。だから少なくとも『盗用』にはあたらない」
というものだった点にも触れている。
「『盗用』とは認定をしておりません」としていたが...
ただ、後に、機構が独自に取材して事実認定した部分もあったことが明らかになったとして、検証記事では
「これは同機構の取材による成果物を、自らのものであるかのように装っているに等しく、弁解の余地はない」
と指摘。書籍の共同執筆者は、問題の記事が「盗用」だと認識し、金曜日に対して方針転換を求めたという。
こういった経緯もあって、17年12月27日に北村肇・発行人名でウェブサイトに掲載された「おわび」では、
「(GoHoo)サイトの記事をそのまま使用したものではなく、弊社としては『盗用』とは認定をしておりません」
としていたが、今回の検証記事に盛り込まれた北村氏のコメントでは「『盗用』と指摘されても致しかたない失態」だと踏み込んだ。
金曜日側は12月27日に機構を訪れて直接説明・謝罪しており、機構はそれを受ける形で、12月29日に出した談話で「北村社長の決断に敬意を表し、これをもって諒とします」としていた。