スマホ不振は他事業で吸収
課題は18年3月期に276億円の営業赤字だったスマホ事業だ。19年3月期の見通しについて今回、従来予想より150億円多い300億円の営業赤字に下方修正した。数を追わずに利益を重視することで黒字が定着したテレビやカメラと違い、進化が速いスマホは研究開発を重ねて世界のメーカーと戦う必要があり、販売不振が赤字に直結する。日本メーカーが軒並み撤退する中にあっても、世界全体として成長・進化する機器であるスマホにこだわるソニーは事業継続の意思を明確にしている。スマホの赤字が経営を揺るがすものではなく、他事業で吸収できることも今のソニーの強みと言える。
市場が注目するのは、ソニーが19年3月期の営業利益予想を前期比8.8%減益の6700億円で据え置いたことだ。理由として、ゲームなどで稼ぎを見込むうちの730億円を、スマホの不振や電子部品調達価格の変動などに備えることを挙げている。ただ、市場には保守的ではないかとの見方があり、「8500億~9000億円の営業利益水準が視野に入ってきた」(SMBC日興証券の桂氏)との声もある。8000億円を超えれば20年ぶりに最高益となった18年3月期(7348億円)をさらに上回る。それが見え始めたことも株価の上昇材料となっている。