改修に「4年」はかかり...IT後進国転落も!?
確かに菅氏が指摘しているように、「日常生活」への影響は大きい。やはり導入の機運が高まった08年、日本睡眠学会は反対する声明を発表している。サマータイム導入で早起きになる一方で「早寝」にはなりにくく、睡眠時間が短くなって健康被害につながる、というのがその理由だ。声明では、04~06年に札幌商工会議所が主導して行った模擬サマータイム(フレックスタイム)に参加した人へのアンケート調査では、従業員の20%~40%が睡眠不足、体調の悪化を訴えたことから、サマータイム導入による健康被害で、年に1350億円の経済損失が発生すると試算した。
健康被害以外に、「あと2年」という時間的制約も大きなハードルだ。コンピューターシステムの対応が間に合わない可能性があるからだ。国産OS「TRON」を開発したことで知られる坂村健・東洋大教授は、08年6月の毎日新聞への寄稿で、00年になるとコンピューターシステムに不具合が起きるとされた「2000年(Y2K)問題」を引き合いに、サマータイムを「意図的Y2K問題」だと指摘。
「Y2Kの時の経験からして、制度の導入決定から4年程度はシステム改修にかけるべき」
だと主張し、
「さらに、貴重な技術者をはりつける4年はIT分野において日本に決定的な後れを取らせるかもしれない」
とも訴えた。