ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が2004年から14年まで出荷していた携帯用ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」。対応メディアである「ユニバーサル・メディア・ディスク(UMD)」の売り場を撮影した写真が話題だ。
国内出荷終了から4年が経ち、投稿にはPSPとUMDの思い出を持ち寄るツイッター利用者が集まっている。
5個1束で1000円の大安売り
話題となっているのは18年7月30日、ウドンさん(@UDON130)が投稿した写真だ。写真はケースのないUMDが5個1束で透明なビニールテープのようなもので括られている。この束が、無造作に山積みされている。一部の束の値札シールも視認が可能で、確認できた束の価格はいずれも1000円。まさに投げ売り状態である。
UMDは事実上のPSP専用のメディアで、このディスクにゲームタイトルが収められ、端末で遊ぶことができた。形状は「ミニディスク(MD)」や「MOディスク」のようにカートリッジにディスクが入っている。ただ、これらと異なり、保護用のシャッターがない。カートリッジも四角いものでなく丸い形状で、下部の2辺が少しだけ出っ張り、三角形のような形状だ。
写真をアップにすると、束の一番上にあるUMDのタイトルがいくつか確認できる。そのタイトルを見て、リプライ(返信)欄には、
「かつて定価で買った思い出の作品が見えます(ぷよぷよ7)」
「GOD EATERやん......俺の中学時代の最高の思い出や」
などコメントが寄せられた。
覇権狙った「UMD」だったけど...
PSPが投入されたのは2004年のことだ。同年発売のニンテンドーDSと競い合いつつ、2000年代後半の携帯ゲーム業界で存在感を発揮したものの、2011年には実質的な後継機「PS Vita」が発売、14年には出荷も終了し、急激に「過去のハード」となりつつある。上記のような「投げ売り」の光景は、時代の移り変わりを象徴する光景として、直撃世代の胸に突き刺さったようだ。
またPSPは、ゲーム機としてだけでなくマルチメディア端末としての側面もあり、UMDには次世代メディアとしての期待もかけられた。今回投稿された写真で確認できるのは、ゲームタイトルのUMDだけであったが、映画やコンサート映像が収録されたタイプや音楽アルバムが収録されたものも発売された。
IT総合情報ポータル「ITmedia」が2005年1月20日に公開した記事によると、UMDの用途を商用の映画と音楽に拡大する計画があった。事実上、PSPのみでしか使用できないメディアになってしまったが、他社が対応のメディアプレーヤーを製造できるように、映画版と音楽版へのアクセスを提供する予定も公にしていた。
また、当時のSCE社長兼グループCEOの久夛良木健(くたらぎ けん)さんは、UMDについて「あらゆる人に向けたオープンな標準として提案している」とした上で、こう話した。
「ゲームプロファイルはPSP固有のものとなるが、映画と音楽は皆に共通のアプリケーションになるはずだ」
このことについて思い出したユーザーからは、「最初は映画まで出してて覇権取る気満々だったUMD...」といった指摘もあった。
現役ユーザーはまだまだいる
UMDが束で売られる現場写真の投稿は、8月6日昼現在までに、「リツイート」が約1万9000件、「いいね」は約3万3000件を記録している。
リプライ(返信)欄以外にも、PSPに関するコメントが多く集まり、過去を思い出す投稿以外に、
「PSPは未だに現役かつ我が家の最新鋭ゲーム機だ」
「PSP全然現役だけどな」
と、今でも楽しんでいるユーザーがいたほか、先の投稿を意識していると思われる反応もあった。
「えええー!いいなー!まだ現役でPSP使ってるから行ってみたい」
「PSP現役で遊んでるから普通に漁りたい...」
ほかにも、PSPを現役で使っているとの投稿があり、発売から14年、国内出荷終了から4年が経っても根強い人気があるようだ。
11年4月27日時点で、全世界売り上げ台数7000万台を超え、延べ3200以上のUMDタイトルが発売、こちらの累計売り上げ本数は2億9800万本を数える。