サッカーJ1・浦和レッズのDF槙野智章(31)が、2018年8月5日の第20節・V・ファーレン長崎戦(埼玉スタジアム、0-0)後に「相手に触ればファウルか」などとして、審判の判定に苦言を呈した。
主審をつとめたのは今村義朗氏。サポーターの間でも不可解に思う判定が多かったのか、試合後に審判団がピッチを去る際はブーイングが起きた。
GKと競り合うとファウル
槙野は6日未明、ツイッターに、
「今日の試合を見直す。両チーム合わせてほとんどのコーナーキックが全部ファール。Jリーグでは相手に触ればファールか。ふむ。ふむ」
と投稿。ドイツ・ブンデスリーガでプレーし、ロシア・ワールドカップ(W杯)日本代表に選出された男が、皮肉を込めて判定に苦言を呈した。
同様のことは浦和のオズワルド・オリベイラ監督も、「感じられたのはレフェリーがCKの時にリスクを避けていた、ということ。かなり多くの場面で攻撃側のファウルの笛を吹いていた」と試合後の会見で語っている。
両チーム19個ずつ合計38個のファウルがあり、CK時も複数回取られた。特に疑問視されたのは後半35分。長崎が右CKから中央に放り込んだ瞬間にファウルを取られた。長崎FWファンマが、ゴール前の位置取りで浦和DFマウリシオを押したのが原因とみられるが、納得がいかない様子でファンマは両手を広げ、苦笑いして溜め息をついた。
槙野自身も何度か絡んだ。前半9分の長崎のCKで、同FW鈴木武蔵にマークする槙野がついていこうとするが、2人がかりでブロックされ、長崎のファウルとなった。後半13分の浦和のCKでは、ショートコーナーからゴール前に高く上がったボールに対し、槙野がGKと競り合うとファウルを取られた。
これらに限らない。上記の後半35分のCKになる直前のプレー。右サイドから鈴木が上げたクロスは、浦和DFマウリシオに当たったとしてCKとなったが、リプレー映像ではまったく当たっていなかった。間近で見ていた浦和GK西川周作は今村主審に詰め寄ったが、覆らなかった。
長崎FW澤田崇に、浦和MF青木拓矢が背後からチャージしたとしてファウルを取った後半6分の場面も、疑問が残った。プレーの瞬間、今村主審はボールに背を向けていた上、リプレー映像でも澤田は先にボールに触ったようだった。青木は空振り気味になって倒れた形だ。
審判団にブーイング
さらに後半アディショナルタイム、浦和MF宇賀神友弥が上げたクロスは、ペナルティエリア内の長崎MF飯尾竜太朗に当たってCKになったが、当たったのは走りながら振っていた左腕だった。PKが疑われる場面で、オリベイラ監督も「そういう解釈(CK)である、と言われれば受け入れるしかないが、選手たちに対しても注意せず、このアンチゲームとも言える流れにレフェリーが協力してしまったのかな、と思えてしまう」と不快感を示している。
0-0で終えた試合後、スタジアムからは大きなブーイング。タイミングからして、ピッチを後にする審判団に向けられたものとみられる。
冒頭の槙野の投稿に対しては、同じように複雑な思いをもっていたサポーターから、
「全く同意です、あれでは倒れた勝ち。昨日の判定は全般的にがっかりでしたね」
「どっちに対してもひどい審判すぎて、嘲笑って見るしかなかった。ファンマが怒り出すんじゃないかとも」
といった声が寄せられている。一方で、出場選手でありながらSNS上で審判に物を言ったことについては、
「プロなのに勝てないのを審判のせいにするのか。ふむふむ」
「それでも枠内シュートの多さと外した多さを反省しましょう」
などと釘を刺されてもいる。
Jリーグでは、ロシアW杯で導入されて話題を集めた映像判定システム、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が採用されていない。ツイッター上では、「とりあえずVARの導入しよう。お互いのために」との声も漏れている。