あのバラク・オバマ氏を騙るアカウント「オバマbot」から、いきなりLINEが届いた――こんな報告が2018年8月4日ごろから相次いでいる。
知らない間に、何人もの「オバマ氏」がLINEの友達(友だち)に加わっているという奇妙な現象に、ユーザーはパニックに。「アカウントを乗っ取られる」「ウイルスに感染する」といった怪情報も乱れ飛ぶ。そんな中、J-CASTニュースではその「正体」だという人物を発見、話を聞くことに成功した。
8月4日はオバマ氏の誕生日
――(「オバマbot」を作ったのは)どのような目的からでしょうか?
男性 オバマの誕生日を祝いました
問題のアカウント「オバマbot」の製作者を名乗るこの人物は、あっさりこう答えた。ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)で語るところによれば、「24歳男性」だという。
「オバマbot」なるこのアカウントは、米前大統領であるオバマ氏の誕生日「8月4日」前後から動き始めた。LINEを通じ、不特定多数のユーザーに、
「Happy Birthday to Me(ケーキの絵文字)」
というメッセージを送りつけるとともに、勝手に友達リストに自分を追加するのである。しかも1体ではない。人によっては気が付くと、3体、4体――それどころか10体以上の「オバマbot」が、友達欄にずらりと並んでいた、という報告さえ上がっている。
知らないユーザーからメッセージが届く――こうしたスパムは、LINEでは決して珍しいことではない。だがほとんどのスパムは、特定のサイトに誘導しようとしたり、金品をだまし取ろうとしたりと、明確な目的を持って行動してくる。ところがこの「オバマbot」は、単にメッセージを送り、自分を友達に追加するだけだ。
「乗っ取られる」「ウイルス」はデマ
あまりに意味不明なためか、ユーザーの間ではこうした噂が広がり始めた。
「オバマbotのメッセージを開くと、LINEを乗っ取られる」
「ウイルスに感染して、LINEが使えなくなる」
情報はLINEやツイッターなどを通じて拡散、「怖い怖い怖い」「助けてください」といった悲鳴が相次ぐ騒ぎに。パニックは加速し、「すぐにブロックを!」といった「対処法」も広まった。
しかし6日、J-CASTニュースの取材に対し「製作者」の男性は、乗っ取りやウイルス感染などは「ないです」と即答した。オバマbotの「機能」は、メッセージの送付と友達への追加のみだという。LINEの広報担当者も、
「現在そのような被害は確認されておりません。また、本件に関連して『アカウント乗っ取り』『LINEが使えなくなる』といった事象が発生する事はございません」
として、「迷惑行為目的と分析しております」と説明する。要するに、愉快犯である。
すでにアカウントはブロック
騒ぎになっているほどの「実害」はないとはいえ、人騒がせには違いない。LINEではすでに問題のアカウント群をブロック、ユーザーに対しても、
「不審なアカウントからの友だち追加やメッセージが来た場合には、『LINE』アプリの通報機能を通じ、弊社に通報いただくようお願いをしております」
と呼びかけている。
なお、「オバマbot」を名乗るLINEアカウントは過去にも存在したが、今回の製作者は「以前のオバマBOTの作者は別に居ます」としている。