台風12号の影響はあったが、東日本を中心に暑さがまた戻ってきた。大雨の被害、熱中症にとどまらず、猛暑の日本経済と国民生活への影響は様々。景気にはプラスというのが定説だが、どうなるのだろうか。
一般に、暑いと消費が活発になり、経済成長にプラスに働くとされる。エアコンや扇風機が売れ、電気代が増え、ビールやジュースなど冷たい飲み物やアイス類の売れ行きも好調、スキンケア商品さらに冷感商品にも手が伸びる。そして、そうした商品を運ぶため段ボールなどの資材の需要も高まり、トラックなど物流も潤う。デパート、飲食店、映画館で涼む人もいれば、プールなどレジャーも賑わう――といったことだ。
エアコンやビール、飲料も好調
エアコンは、ある大手量販店の2018年7月半ばの売り上げが前年の1.5倍など、猛暑効果がくっきり。「AI(人工知能)による風向・風量調節や自動掃除機能などが付いた高機能・高価格製品が比較的売れている」(東京都心の大型店売り場)。市場調査会社は「この夏の販売は記録的猛暑だった2010年、13年に匹敵する水準になるのではないか」とみる。パナソニック、ダイキン工業などのメーカーも前年を上回る生産体制でフル操業状態だ。
ビールや飲料も好調。キリングループは需要増を見込んで「一番搾り」などビールの主力銘柄を中心に前年比1~4割程度の増産を計画。塩分補給できる清涼飲料も7月は前年比2割増ペースという。サントリー食品インターナショナルもスポーツドリンクなどを前年比15%程度増産する。
コンビニでは冷やし中華やざるそばなど冷たい麺類が好調で、割引キャンペーンなども行い、売れ行き好調。梅干し、いなり寿司など、塩分補給やさっぱり感などのためか、前年より大幅増という。「ガリガリ君」(赤城乳業)をはじめとするアイス類も好調で、暑い日の出荷量は普段の3~4割増という。
涼しさを提供する商品も好調だ。薬局チェーンなどで、脇に塗る制汗剤が売れ、通販サイトではナイロン製で涼しく感じる抱き枕が前年の2.4倍の売れ行きのところもある。ひんやり感で涼しく眠れるシートも会長。人間だけでなく、ペット用の冷感ベッドも品薄状態という。
株式市場ではこれらの猛暑で売り上げ好調な商品を製造、販売する各社が「熱中症対策関連銘柄」がはやされる。