負け組に転落する中国の地方都市  高速鉄道誕生10年がもたらしたもの

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高速鉄道開通後に成長率は下落

   GDP成長率で見ても、高速鉄道開通後、京滬高速鉄道沿線の50%の都市、滬漢蓉高速鉄道沿線の60%の都市は、GDP成長率が所属する省に比べ減少しており、全省平均を下回っている。

   さらに注目すべきことに、江蘇省の昆山、安徽省の全椒及び六安、湖北省の巴東などの都市では、高速鉄道開通以前の成長率は全省平均よりも高いレベルにあったが、開通後に全省平均よりも低くなってしまっている。

   財政収入が全省財政総収入に占める割合も、京滬高速鉄道沿線の50%の都市で減少がみられ、滬漢蓉高速鉄道沿線では70%を超える都市で減少している。

   住民の可処分所得に至っては、滬漢蓉高速鉄道沿線の80%を超える都市で減少がみられ、中でも重慶の合川区・潼南県の減少が最も際立っていて、それぞれ35%、20%前後の減少となっている。

   歴史に目を向ければ、こうした現象は、実は不思議でもなんでもない。

   50年余り前、日本初の高速鉄道である東海道新幹線が開通したとき、大阪と新幹線沿線の小都市は、「今後は東京の人口・物資・資金の流れを自分たちの都市に引き寄せることができる」と小躍りして喜んだものだ。しかし、結果は多くの沿線都市にとって大いに失望させられるものだった。中小都市のみならず、大阪ですら東京の「サイフォン現象」に太刀打ちできなかったのだ。1970年代初めから、東京都市圏の人口が急激に増え、一方で大阪都市圏の人口はかえって減少することになった。

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