「引退に追い込まれた選手もいっぱいいると思う」
16年の国民体育大会(国体)では、宣誓した選手が「日々お世話になっている方々」に向けて感謝の言葉を述べ、山根会長の名前は出さなかった。番組によれば、同選手は「山根会長に世話になっていないから言いたくない」と言っていたという。この選手は奈良県出身の選手との試合で敗れた。山根会長をめぐっては、自身と同じ奈良出身選手を勝たせるよう審判に強要する「奈良判定」の疑惑もある。
鶴木氏によれば、国体での成績はその後のボクシング人生に「大きく関わる」。「国体で実績を残せば、ナショナルチームで海外遠征などにも参加できますが、反対にそれがきっかけで引退に追い込まれた選手もいっぱいいると思う」と推測し、「ここまでやっても勝てないのかと、それでも負けにされたら、やめるしかない」と、選手の立場を慮っていた。
不自然に選手たちがこうした言葉を発することは、スポーツライターの小林信也も7月31日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で指摘している。「『精神的な利権』と言いますか、『山根会長のおかげで勝った』と言わないと選手が後で責められるとか、監督や組織の長が選手を支配するような気持ちがあって、これが一番選手にとってつらいことです」と話していた。