元WBC王者・木村悠、「奈良判定」の前は「日大判定」 アマボクシングのいびつな実態暴露

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「プロに行った選手は『アマチュア追放』のような扱いに」

   「集落のような狭さ」は、プロボクシングとの関係でも表れている。「プロの世界チャンピオンになった選手の8~9割はアマチュア出身です。自分を育ててくれたアマチュア界に恩返ししたい気持ちはあります。でも、プロとアマチュアには溝がある」という。

「プロに行った選手は『アマチュア追放』のような扱いになります。私と近い世代でも、八重樫東(あきら)選手(35)、山中慎介選手(35)、内山高志選手(38)ら、世界王者にまで上り詰めた選手は多かった。でも一度プロになったら、引退後に指導者などでアマチュアに戻ることは基本的にできません。文書や口頭で言われるわけではありませんが、古い日本特有の『暗黙の了解』です。非常に残念だと思います」

   「今は若干変わって、元プロ選手が第2の人生として、大学や高校で指導するケースも増えてきています」というものの、「私たちがプロになる時は認められませんでした。もっとプロとアマが循環できれば人気・レベルの向上にもつながるのではないかと思います」と歯痒さを感じている。

   思い出されるのは、12年ロンドン五輪で日本代表48年ぶりの金メダル獲得後、プロ転向した村田諒太選手(32)。当時、プロかアマかの進退をめぐって山根会長らと大騒動になり、連盟の理事会は、過去例のない村田選手への「引退勧告」を全会一致で決議した。木村氏は言う。

「村田選手の件はかなりモメたと思います。五輪金メダリストは日本史上2人しかおらず、アマチュア界からすれば至宝。その選手がプロに行くというので、相当引き留めたとも聞いていますが、結局『破門』のような形になりました。古い会社組織のようです。同じ業界では転職できないとか、そもそも転職自体が難しいといったような構造が、根深く残っていると感じます」
姉妹サイト