「競技が競技でなくなっている」奈良判定の闇 識者が指摘する「悪質さ」とは

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「こんなことだと安心して競技ができない」

   上記番組で、スポーツライターの小林信也氏は「奈良判定」について、「本当にあってはいけない。残念ながら日本のスポーツ界では、判定に何らかの力が働くようなことに取材の中でもしばしば出会うが、その中でもかなり悪質というか際立った形だと思う」と糾弾した。一方で、「連盟の会長選挙投票者の半数以上は、山根会長側で固められてしまっている。改善を提言した人も何人かいたようだが、そうすると連盟の役割から外されていく。そんなことが長年行われている」と、改善が進まない状況にあることも指摘した。

   全国大会では、審判長がつくった「審判割当表」に山根会長が決裁をくだすことで、各試合の審判員が決まるという。小林氏は「他の競技団体にはないのではないか」とし、

「審判の独立性・公平性を阻害している。今回の告発に至った一番の理由は、競技が競技でなくなっていることにあると思う。(ノックアウトがほとんどない)アマチュアボクシングでは、判定が根幹にある。それがこんなことだと安心して競技ができない」

と競技そのものの存立を危ぶんでいた。

   00年シドニー五輪では日本代表監督だった山根会長。10年に副会長、11年に会長に就任すると、12年ロンドン五輪で、現WBA世界ミドル級王者の村田諒太選手が金メダル、清水聡選手が銅メダルと、日本44年ぶりのメダルを獲得。山根会長は「終身会長」という立場になり、以降連盟トップに君臨している。「『山根会長のおかげで勝った』と言わないと選手があとで責められるとか、監督や組織の長が選手を支配するようなところがあって、これが選手にとって一番辛いこと」と小林氏は指摘していた。

1 2
姉妹サイト