英国のハント外相の初訪中での「言い間違い」が、英メディアから厳しい批判を浴びている。
ハント氏の妻は中国出身で、中国の王毅外相との会談で話題にしようとしたが、口をついて出たのは「私の妻は日本人で...」。直後にハント氏は間違いを訂正し、会談の場では「うっかりミス」だと受け止められて笑いが広がったが、メディアは「中国政府の前で日本と間違えるのは最悪」などと手厳しい。
公式晩さん会で日本語を使ったことと混同?
ハント氏は2018年7月に外相に就任したばかり。7月30日に北京で行われた会談の冒頭で、
「私の妻は日本人で...」
と口走り、すぐに
「私の妻は中国人で...。ひどい間違いですね。撮影をやり直しましょう」
と訂正。中国側からも笑い声が起こった。さらにハント氏は、
「公式晩さん会では日本語で話しました。妻は中国人で、子どもたちは半分中国人。西安には中国人の祖父母がおり、中国とは強い家族のつながりがあります。中国と英国の友好関係をさらに深められることを願っています」
と続けた。両外相は日本語を話すことができ、ともに日本での勤務経験もある。日本語(Japanese)で話したことを話題にしようとして、妻が日本人(Japanese)だと言い間違えた可能性もありそうだ。
ただ、メディアからすると、単に「言い間違い」では済まされない問題のようだ。
BBCは、この言い間違いが「なぜ大失敗なのか」と題した解説記事をウェブサイトに掲載。
「中国政府の機嫌を取ろうとするのではあれば、どんな国であっても、中国と他の国とを間違うのは悪いことだ。しかし、あらゆる国の中で、日本と間違えるのはおそらく最悪だ」
として、その背景として、日中戦争に始まる両国の歴史問題を指摘した。
日本人に「ニーハオ」と声かけるようなもの?
さらに、直前に王毅氏と日本語で話したのがいい間違いの原因だとする説には、「下手な説明」だとバッサリ。(1)中国の高官との会談だったこと(2)自分の妻に関する話題だったこと、などがその理由だ。
また、東アジアの人をひとくくりにしたかのような対応も問題視した。中華系の人に「こんにちは」、日本人に「ニーハオ」と声をかけてしまう例があることなどを例に、
「東アジアの人の多くは、あり得るミスの中では最悪なものではないとは同意するだろうが、それでもかなり不快なものだ。ハント氏のミスは、悪気のない言い間違いだったのかもしれないが、この文脈ではかなり不幸なミスだ」
などと指摘した。
BBC以外にも英メディアは総じてハント氏に対して厳しい論調で、ガーディアン紙は「日中は伝統的に、数世紀にわたってライバル」だということを理由に、「中国で無様なデビュー」を果たした、と酷評した。