日本企業にも追い風か
こうした7月の外資企業についての一連の報道の中で、日本企業の社名は登場しなかった。外資企業に送る「秋波」は、日本企業は対象外だったのか?
実は、『日本との連携による米国への対抗』という姿勢は、5月に李克強総理が日本を訪問した際にすでに示されていた。「日本企業に優遇を提供する」というシグナルは、2018年に入って「野村ホールディングスが中国初の外資の持ち株証券会社として承認された」ことで発信されている。日本に対するシグナルを、今さら改めて重ねて発信する必要などないのだ。
この秋に向けて、安倍晋三首相の訪中が準備されている。訪中では、北京のほかに地方都市も訪問するだろう。11月なら上海で開かれる第一回中国輸入品エキスポと重なり、日本との契約額は、李克強首相がドイツ訪問時に結んだ235億ドルを下らないだろうとされる。上海ではなく深センなどのイノベーション都市を訪問する可能性もあり、どちらにしても中国と日本の経済関係が促進される、と北京の中日関係筋は見ている。
トランプ大統領の仕掛けた対中国貿易戦争は、意外にも中欧関係、中日関係を好転させる要因となっている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)