スバルの限定スポーツカー、またまた即日完売 日本でも本格スポーツカーは売れる?

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   SUBARU(スバル)が2018年7月19日に全国500台限定で発売したスポーツセダン「WRX STI TYPE RA-R」が即日完売となった。

   このモデルは、スバルのモータースポーツ統括会社のSTI(スバル テクニカ インターナショナル)の創立30周年記念のコンプリートカーで、ファンの間では注目度が高かった。スバルはタイプRA-Rを発売すると発表した同じ日に、ホームページで「受注台数が限定台数の500台に達したため、販売は終了しました」と明らかにした。

  • 即日完売となった「WRX STIタイプRA-R」
    即日完売となった「WRX STIタイプRA-R」
  • 即日完売となった「WRX STIタイプRA-R」

トランスミッションは6速マニュアル

   スバルはカタログモデルのWRX STIをベースにSTIと共同開発したコンプリートカーをこれまでも限定発売し、近年は即日完売が続いている。2015年10月には「S207」を400台限定で発売し、即日完売。2017年10月には「S208」を450台限定で発売したが、2600人を超える申し込みがあり、抽選となった。こちらも事実上の即日完売だった。

   S208は626万~710万円、今回のタイプRA-Rは499万円と、決して安価なクルマではない。トランスミッションはいずれも6速マニュアルで、今日のAT(オートマチックトランスミッション)に慣れたドライバーには乗りこなすことすら難しいだろう。クルマに関心のない読者には理解しがたいかも知れないが、これらスバルの限定車が即日完売となるには理由があるのだ。

   それは本格的なスポーツカーを愛するコアなモーターファンが日本にも一定の割合で存在するということだ。若者の自動車離れに加え、スポーツカーは長く「冬の時代」と言われる。自動車販売台数で上位を占めるのは燃費に優れた軽自動車であり、トヨタや日産のハイブリッドカーだ。これらのクルマは実用本位で「白物家電」に近い。これと対極にあるのが、趣味性の高いスポーツカーの世界だ。

   タイプRA-RはS208にも搭載した「STIコンプリートモデル最高」とされるスバル独自の水平対向エンジン「EJ20バランスドBOXER」を採用。ノーマルのWRX STIの最高出力227kW(308PS)、最大トルク422N・m(43kg-m)に対して、242kW(329PS)、432(44kg-m)を発揮する。ノーマルのWRX STIに比べ約10キロ、S207やS208に比べ約30キロの軽量化を実現。ローダウンサスペンション、専用ブレーキパッドなど、数々の本格的なメカニズムを採用した。

ポルシェやBMWがライバルの価格帯

   STI取締役で開発本部長の森宏志氏は

「STI30周年を記念し、モータースポーツに参戦するエンジニアたちが究極の『意のままの走り』に挑んだ。加速、減速、コーナリング性能を限界まで高めることで、『走る』『曲がる』『止まる』という運動性能を純粋に追い求めた」

という。RA-Rはスバルファンはもちろん、運転を楽しむスポーツカー愛好者にとっては、たまらないクルマなのだ。

   スバルにとっては、同じく2リッターエンジンのAWD(全輪駆動=4WD)スポーツセダンだった三菱ランサーエボリューション(ランエボ)が生産終了となったことも追い風になっているだろう。500万円から700万円のスポーツカーといえば、ポルシェやBMWなどが価格的にもライバルとなる。スバルがこの価格帯でスポーツセダンを限定発売し、少なくとも3回連続で即日完売となった事実は、スバルの技術力、ブランド力の高さを証明したことになる。

   日本のメーカーが本格的なスポーツカーを限定発売し、即日完売となったケースは、ホンダが2015年10月に750台限定で発売した「シビック タイプR」などの例がある。マツダも2014年に限定発売したロードスターの特別仕様車が数分で完売した。両社とも専用ホームページで受注を開始したところ、熱烈なファンから申し込みが殺到したという。

   いずれもメーカーがこだわりを持って本格的なスポーツカーを開発すれば、大々的な宣伝などしなくても高額車が完売するというビジネスモデルだ。ニッチ市場とはいえ、メーカーの総合的なブランド力が問われていると言えるだろう。

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