音楽家の坂本龍一さんが、ニューヨークにある行きつけの料理店でBGMのプレイリストを作成した。米ニューヨーク・タイムズが報じている。
報道によると、料理店でBGMがあまりにも「酷い」ため、坂本さんが料理店に選曲を引き受けると提案した。一体、どんなレストランでどんな曲が選ばれたのか。
京都の京生麩の専門店のニューヨーク店
坂本さんは現在、米ニューヨーク在住だ。坂本さんが行きつけにし、BGMのプレイリストを作ってしまうほどの料理店とはどんな場所なのか。
そのレストランの名前は「Kajitsu(嘉日)」という。ニューヨーク市マーリー・ヒルにある、精進料理を提供する和食料理店。メニューはコースだとお値段125ドルの「Omakase」と95ドルの「Hana」の2種類がある。「Hana」には水茄子浅漬け、万願寺唐辛子焼き浸し、新玉ねぎの丸煮といった日本でも馴染みの品のほかに、トマト炊き込みご飯といったユニークな品も盛り込まれる。
この料理店は、京都にある京生麩(ふ)専門店「麩嘉(ふうか)」がニューヨークに出店した店舗だ。そのためか、単品メニューには生麩田楽も並ぶ。
坂本さんはこの店の料理について、
「料理は桂離宮(京都市)の美しさと同じくらい良い」
と賞賛。しかし、坂本さんは店のBGMについては、こう指摘した。
「あなたのレストランの音楽はトランプタワーのようです」
これまで店に流れていた音楽は、「ひどい」ブラジルのポップミュージックと古いアメリカの民族音楽などが混ざり合ったものだったと伝えている。
行きつけの店の酷いBGMを改善するため、「ノーギャラ」でプレイリストを作成した。
Spotifyでリストは公開中
坂本さんは、どんなものを選んだのか。
第72回ゴールデングローブ賞で作曲賞を受賞したヨハン・ヨハンソンさんの作品やアーマッド・ジャマルやビル・エヴァンスといったジャズ・ピアニストの曲。ほかには、高橋アキさんが演奏したジョン・ケージさんの「Four Walls Act 1 Scene1」やサックス奏者コリン・ステットソンさんの作品など全47曲が選ばれている。
今回のプレイリストの作成には相当の気合いが入っていたようで、少なくとも5つの草案が作られた。
坂本さんは、ニューヨーク・タイムズのインタビューに、プレイリストの作成は好きな音楽を選ぶのと同じくらい簡単かどうかを聞かれた際には、「いいえ」と答えた。
今回、作られたプレイリストは、音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」で「The Kajitsu Playlist」として公開した。