サッカー日本代表(A代表)新監督の森保一氏は就任にあたって「世代交代」を強調した。兼任する東京五輪代表をはじめ、若手の招集が少なからずあると予想される。
ロシア・ワールドカップ(W杯)の主力は30歳前後の選手が多く、世代交代が急務。2か月を切る初陣に向け、「目玉選手」は誰なのか。インターネット上でも議論はやまず、「東京世代」に限らず、直近で高いパフォーマンスを見せる選手たちの名前が続々あがった。
「東京五輪代表でもA代表に行く選手がいて」
森保監督は2018年7月26日の会見で、「世代交代、年代間の融合を図る」と明言。「言葉ありきでなく、競争があると思う。魅せられる、走れる、実力ある選手は生き残っていく世界。世代交代はやっていかなければならないが、年代間の融合を図りつつ、新しい日本代表を築き上げたい」とのイメージも述べた。
この「年代間の融合」については、「ベテランを招集しないとか、若い選手を経験させるために入れ替えるのではない」とし、「経験を積んだベテランが持っているものを、経験の浅い選手に伝える。東京五輪代表でもA代表に行く選手がいて、五輪代表に新たに召集できる選手も出てくる。その下の年代から五輪代表に引き上げ、融合する」という考えを示した。
ロシアW杯日本代表の平均年齢は28.3歳で過去最高。14年ブラジルW杯に続いて選ばれた選手が11人おり、うち5人は10年南アフリカW杯にも選ばれていた。主将のMF長谷部誠(34)は代表引退し、MF本田圭佑(32)もそれを示唆。3大会連続全試合出場のGK川島永嗣も35歳に達している。
転換期にあるA代表では、新戦力の発掘・テストが急務。J1・サンフレッチェ広島で監督を5季つとめた経験と、東京五輪を戦うU-21(21歳以下)代表も兼ねる森保監督は、Jリーグや海外日本人選手の事情にも明るい。
特に会見でも述べていたように、東京世代からA代表への招集が活発化することが予想される。東京五輪は開催国枠で出場が決まっており、アジア予選が免除されるため、A代表と並行してより長い目でみたチーム作りも可能だ。
「三好とかすぐA代表にも呼ばれるんじゃないかな?」
インターネット上でも若い世代の招集に関心が集まり、
「東京世代は逸材揃いとは言われてる」
「U-21でクラブのレギュラーになってる選手は4年前8年前よりずっと多い」
と東京世代への期待が膨らむ。中でも最近の試合で好調を見せるのは、
「三好とかすぐA代表にも呼ばれるんじゃないかな?」
「三好めちゃくちゃいいな。日本代表もありえるな」
といった声があがるMF三好康児(21)だ。
U-23代表が戦う5~6月のトゥーロン国際大会では、3-4-2-1の「2」にあたる、いわゆるシャドーストライカーで躍動し、4戦2ゴール。得点だけでなく、ポルトガル戦では後ろ向きでボールを受けると、振り向いて相手を引きつけながら絶妙なスルーパス、こちらも高いポテンシャルを秘めるFW田川亨介(19)のゴールを演出した。身長は167センチと小柄ながら、サイドから鋭くドリブルで切り込むシーンも多い。
今季から所属のJ1・北海道コンサドーレ札幌でも、同じフォーメーションの同じポジションで主力としてプレー。もし森保監督がA代表でも3-4-2-1を用いるとしたら、スムーズに戦術理解が進むと考えられる。なおこの位置は、ロシアW杯でベルギー代表MFエデン・アザールが猛威をふるったのが記憶に新しい。
「FWに必要な要素全部持ってる」選手?
守備の選手では、19歳にしてベルギー1部シント・トロイデンに身を置くDF冨安健洋が、トゥーロン国際でもセンターバックとして存在感を見せた。身長185センチと大柄で、1対1で当たり負けしない。他にも有望株は多く、五輪代表が8月に戦うアジア大会にも注目が集まる。
一方Jリーグでは、ギリギリ東京世代ではない「96年生まれ」のストライカーが続々と頭角を現している。鹿島アントラーズのFW鈴木優磨(22)、清水エスパルスのFW北川航也(22)、ベガルタ仙台のFW西村拓真(21)が17節を終えて7ゴール、得点ランク5位タイに並ぶ。
中でも鹿島の鈴木は、W杯中断明けの3試合で3ゴールと波に乗る。182センチ・75キロの体格でヘディングも強いが、それだけではない。25日のセレッソ大阪戦では、DFから1本の縦パスで相手3人を置き去りにするドリブルから得点するなど武器を増やし、急成長を遂げている。
ネット上では、「鈴木優磨は1トップ全然やってないからだめだな」と基本的に2トップを敷く鹿島以外のチームでの対応力を疑問視する声はあるが、「世代交代感を出すために無理にでも起用してほしいな」「FWに必要な要素全部持ってる」などと期待の声も多い。
A代表は9月7日のチリ戦がW杯後の初戦となる。森保監督はどんな選手たちで臨むのか。