連日のように安倍政権批判を展開する北朝鮮が、実は日本との対話の可能性を模索している、という見方も出ている。
北朝鮮との交流を進める韓国の民間団体、民族和解協力汎国民協議会(民和協)の代表で、故・金大中(キム・デジュン)大統領の3男の金弘傑(キム・ホンゴル)氏が平壌を訪問し、北朝鮮側から「私たちは日本とも平和的に交流したいが、先方(日本)が敵対的に接する」などと伝えられたという。
「過去の問題への反省が全くないので批判しているだけであって...」
金氏は2018年7月16日から19日にかけて北朝鮮を訪問。北朝鮮側の民和協関係者と協議し、日本統治時代に徴用された朝鮮半島出身者の遺骨を日本から持ち帰る事業を南北共同で進めることで合意した。
南北対話を推進した故・金大中氏の息子である金弘傑氏は、故・金正日総書記の弔問団の一員として11年にも訪朝した経験がある。今回の北朝鮮側との協議は、北朝鮮の国会にあたる万寿台(マンスデ)議事堂で行われたといい、韓国KBSによると、北朝鮮が民間団体代表を同議事堂に招いて署名式を行うのは異例。
7月24日に中央日報が報じた金氏のインタビューでは、金氏は南北関係について、
「北朝鮮は非核化や朝鮮半島の平和体制の構築において、南側が米国などを説得する意志や実力があるか疑問を持つ様子だった」
などと振り返った上で、北朝鮮側は日本について
「私たちは、日本とも平和的に交流したいが、先方(日本)が敵対的だ。過去の問題への反省が全くないので批判しているだけであって、日本との関係改善を望んでいないわけではない」
と説明したことを明かした。
歴史問題で謝罪・賠償引き出すのが狙い?
ただ、北朝鮮メディアは連日のように安倍政権批判を展開しており、北朝鮮側の真意は読み取りにくい。7月25日付の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は
「窮地に陥った者たちの幼稚な行動」
と題する論説記事を掲載。「赤坂自民亭」問題で批判が集中していることなどを念頭に、
「安倍一味は今、政治的に非常に困った境遇に陥っている」
として、批判をそらすために北朝鮮問題の「核・拉致」問題を利用していると主張。その上で、
「日本の反動層が過去の罪を覆い隠したままで時代錯誤的な対(北)朝鮮敵視政策に固執するだけ、内外の大きな非難と嘲笑を招くだけである(中略)安倍一味はこれに留意して今からでも行動をすぐに起こすのがいいだろう」
とした。この記事では直接的な言及はないものの、歴史問題に対する日本側の謝罪と賠償を念頭に置いているとみられる。