豪雨で近畿地区を中心に避難指示が出る中でも政府・自民党幹部が「赤坂自民亭」と呼ばれる会合に出席し、その様子がSNSに投稿されていた問題で、菅義偉官房長官は2018年7月23日夜放送の「プライムニュース」(BSフジ)で、災害対応をめぐる批判に改めて反論した。
その中で菅氏は、宴会の様子がSNSに投稿された直後にはメディアも問題視していなかったと指摘。「それが何日かして、あの写真が出回ってきた」と、メディアが「後出しじゃんけん」をしたとでも言いたげだが、本当にそうなのか。
豪雨対応「評価しない」多いのは「赤坂自民亭」のせい?
直近の報道各社の世論調査では、安倍内閣の支持率は横ばいの社もあれば下落した社もあり、一概に比較はしにくい。ただ、西日本豪雨への対応については「評価しない」という声の方が多い。例えば、日本経済新聞社とテレビ東京が7月20~22日にかけて行った調査では、「評価しない」が46%で「評価する」の39%を上回った。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が7月21、22日に行った調査でも、「評価しない」45.0%に対して「評価する」は43.8%にとどまった。この数字は、「赤坂自民亭」をめぐる批判が尾を引いた結果だとの見方もある。
番組では、菅氏は「赤坂自民亭」開催前に即応体制は整っていたとして、こういった見方に反論した。
「その報道がですね、私ども、あれ(「赤坂自民亭」は)5日の日ですから。5日の日にですね...。そして、警報が出たのは6日の日の夕方ですよ。だけど、大雨になるおそれがあるということで、小此木(八郎)防災相をヘッドにして、関係省庁と関連会議を開いて、そうした豪雨に即応できるような、そうした体制を全部整えておきましたから」
その上で、「赤坂自民亭」開催直後にはメディアは批判的に取り上げず、「何日かして」問題がクローズアップされたことを指摘した。
「それで、あの写真が出た次の日、皆さんも含めてですよ、マスコミ各社は、その対応じゃなくて、総裁選挙云々、という記事だけだったじゃないですか。それが何日かして、あの写真が出回ってきましたけれども...。私どもとすれば、(「赤坂自民亭」が行われる前の)3時頃(7月5日15時頃)に、大臣は関係省庁を召集をして、全部待機もかけてますから」
開催直後は総裁選がらみの報道が多かった
「赤坂自民亭」が開催されたこと自体は、開催当日の7月5日に報じられていた。確かにその内容は、開催を問題視するものではなく、総裁選にからめたものだった。例えば共同通信は、安倍晋三首相の「赤坂自民亭」参加が初めてだったとして、
「9月の党総裁選を意識した動きとみられる。終了後、首相は『和気あいあいで良かった』と記者団に語った」
と報じ、時事通信は「安倍首相、総裁選にらみ動き活発化」の見出しで、活発化する首相の動きのひとつとして「赤坂自民亭」出席に触れている。日経新聞も7月6日朝刊で、
「首相と岸田氏ら、議員宿舎会合に、『和気あいあいだった』」
の見出しで報じており、批判的な論調が本格化するのは、出席者のひとりでもある竹下亘総務会長が7月9日の記者会見で
「もう開いてしまっておりますので、どのような非難もお受けしようと思っております」
などと反省の弁を口にした頃からだ。
翌日には「非常に不安を感じる」の質問も
ただ、菅氏が言う「あの写真が出た次の日」にあたる7月6日には、すでに「赤坂自民亭」に批判的な声はあがっていた。同日夕方の記者会見で、政治ジャーナリストの安積明子氏が、
「東京の方では雨が激しいわけではなかったが、西日本ではかなりの被害が出ている。こういうの(懇親会の写真)を上げる状況をどう思うか」
「長官は常々、万全をつくして安全確保に尽力するとおっしゃっているが、ちょっとこれは、国民の方から見ると非常に不安を感じる」
などど「赤坂自民亭」の写真がSNSに嬉々としてアップロードされることを疑問視。菅氏は、
「大雨については官邸でもしっかり対応しており、そうしたことについてはそれぞれの部門部門でしっかりと行っている。そうしたことを上げることについては、そんなに大きな...、やるべきことをしっかりやっていれば問題ないだろうと思う」
として問題はないとの見方を示した。J-CASTニュースではこのやり取りを7月6日夜に報じていた。