米国の動き「暴露」までして... 北朝鮮「終戦宣言」を急かす背景

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   北朝鮮の宣伝サイトが、朝鮮戦争の「終戦宣言」を韓国側に急かす記事を相次いで掲載し、米国が急に終戦宣言に後ろ向きになったことを「暴露」すらしている。

   現時点で結ばれているのはあくまで「休戦協定」で、韓国と米国主導の国連軍は、厳密には北朝鮮と戦争状態だ。2018年4月27日の南北首脳会談後に発表された「板門店宣言」では、18年中に終戦を宣言することが盛り込まれている。北朝鮮としては、終戦宣言が体制保証につながるとみているようだが、その前提になる非核化をめぐる議論は遅々として進まないままだ。

  • 北朝鮮は「板門店宣言」履行を急かす理由は…?(写真は労働新聞から)
    北朝鮮は「板門店宣言」履行を急かす理由は…?(写真は労働新聞から)
  • 北朝鮮は「板門店宣言」履行を急かす理由は…?(写真は労働新聞から)

「南北米3者、または南北米中4者会談の開催」メド立たず

   「板門店宣言」では、

「南と北は、休戦協定締結65年となる今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するため、南北米3者、または南北米中4者会談の開催を積極的に推進していくことにした」

という項目が盛り込まれている。これは韓国と北朝鮮の間の取り決めだが、終戦宣言や平和協定の実現には、米国や中国を巻き込んでいくことが不可欠だ。ただ、韓国は3者または4者会談の実現に向けて非協力的だ、というのが北朝鮮の主張だ。

   北朝鮮の宣伝サイト「我が民族同士」は7月23日、「終戦宣言の問題は、決して傍観してはならない」と題した記事を掲載、18年中に終戦宣言を出すことの重要性を強調しながら、

「米国も北と南が歴史的な板門店宣言で合意した終戦宣言問題について全面的に支持した。ところが残念なのは、最近、米国が立場を急に変えて終戦宣言を拒否している」

などと米国を非難。さらに、

「板門店宣言の条項を履行する義務を持っている南朝鮮当局(編注:韓国政府)も終戦宣言問題を決して傍観してはならない」

などとして、韓国政府が米国を説得するように求めた。

韓国政府も「積極的な努力を傾けていない」

   別の北朝鮮宣伝サイト「こだま」も、7月23日に掲載した記事で、「(板門店宣言の)現在の履行過程は、世界の人々の期待に及ばずにいる」と指摘。その理由を

「現在、米国が朝米共同声明の精神に反する形で一方的な非核化要求だけ持ち出し、終戦宣言の採択に誠意を見せていないのはもちろん、南朝鮮当局も問題を解決するために積極的な努力を傾けていないからだ」

と主張した。6月12日の米朝首脳会談後の共同声明には、

「トランプ大統領は北朝鮮に体制保証を提供することを約束(コミット)し、金委員長は、朝鮮半島の完全な非核化への断固として揺るがない決意を再確認した」

という記述がある。北朝鮮からすれば、停戦協定が終戦宣言を通じて平和協定に切り替われば体制保証にもつながるが、非核化のプロセスで米国側と折り合えないので終戦宣言の話が進まない、というわけだ。

ポンペオ氏は北の提案に乗らなかった?

   実際、北朝鮮外務省報道官が7月7日に発表した声明によると、米国のポンペオ国務長官が7月6~7日に平壌を訪問して非核化に向けた協議を行った際、北朝鮮側は

「朝鮮(戦争)停戦協定締結65周年を契機に終戦宣言を発表する」

ことなどを提案したが、米国側は

「CVID(編注:完全かつ検証可能で不可逆的な方式の非核化)だの、申告だの、検証だのと言って、一方的で強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した」

として非難し、米国側が終戦宣言に関する提案に乗ってこなかったことを示唆していた。今回の宣伝サイトの記事で、ポンペオ氏との協議以降、両国の溝が埋まっていないことが浮き彫りになったともいえそうだ。

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