日本列島は全国的に猛暑となり、気象庁によると2018年7月23日には、東京都内で初の40度超が観測された。報道においても連日の暑さについて「危険な暑さ」や「猛烈な暑さ」と表現し、熱中症などへの警戒を呼び掛けている。
暑さを表すような様々な画像が投稿される中、三角コーン(ロードコーン、パイロン)が根元から倒れてしまっている画像が注目を集めている。
珍しい状態
出回っている画像は、赤い三角コーンが駐車場と思わしき場所で、横たわるように倒れている。別の画像では、シワのような細かい線が見えるほか、大きなヨレも発生している。一見すると、暑さで溶けてしまっているかのようだ。13年ごろからインターネット上で見られるようになった画像だ。
いくら日本が暑いとはいえ、本当にそんなことがありえるのか。
J-CASTニュースは2018年7月17日、三角コーンやバリケードなどの保安用品や工事用品など様々な品目を取り扱う石井マーク(大阪市北区)の石井達雄代表取締役に取材を行った。
ツイッターで出回る画像を実際に見たことがあるという石井さんは、画像に違和感があったようで、不自然であり、「珍しい」との回答であった。
というのも、一般的な三角コーンはポリエチレン樹脂が用いられる。実際にこの材質は熱でやわらかくなるといい、「本来であれば耐熱温度が90度」だ。しかし、いくらアスファルトが熱されているとはいえ、90度を超えるのが難しいのではないかとの見方であった。
後日、石井マークのツイッターアカウントは三角コーンが熱で倒れる場合について更なる見解を投稿した。
「もし仮に暑さでペッタンコになるとすれば、おそらく推測できる原因は外気温それ自体ではなく、アスファルトなど地面が『かなり』の高熱になっている事によるものと思われます。すなわち徐々にコーン下部から地面に畳まれてゆく可能性です」
さらに、とろけてしまった三角コーンの画像に対しても、言及している。
「何らかの熱の影響はあったと考えられます。そう推測する理由の一つは『シワ』です。ポリエチレンは熱で柔らかくなる熱可塑性樹脂に分類されますが、成型時に引き延ばす形で生じた材料ストレスは、柔らかくなった時点で解放されてシワになる可能性はあります」
熱以外の可能性
17日、石井さんに紹介され、交通安全施設用品を取り扱うトーグ安全工業(大阪市浪速区)に対し、取材を行った。
応じてくれたのは、山形工場で、東日本営業部・統括営業部長を務める小倉龍二さんだ。
インターネット上に出回る三角コーンの画像を一緒に見ながら、取材を行った。
先ほど同様にあり得るのかを聞くと、ポリエチレン樹脂なら「難しい」。
ただ、単独では難しくとも、一定の条件を満たせばあり得る。熱でやわらかくなった状態で、タイヤなどの重りがかかり、「踏みつけられる」と根元から横に倒れる状態になり得る。
ツイッターでは画像について、三角コーンの間近にバスが停まっていたとの投稿があった。マフラーの影響についても聞いた。あくまで予想であるとしつつ、
「マフラーの下にあった場合高い熱と熱風があったかと思われます。熱でやわらかくなっていた時に熱風によって曲がっていったと考えます」